ファッション

08.10.16 UPDATE

アルピニスト御用達から、
ラグジュアリーブランドへ

現在でこそモンクレール(MONCLER)はファッションブランドのような位置づけになっているが、もともとはアルピニスト御用達のアウトドアブランドだった。
1952年にアルプスの麓にあるフランス・グルノーブル郊外の小さな村、モネステ・ド・クレァモンで誕生した。創業者レネ・ラミヨンとアンドレ・バンサンは本格的な登山グッズとスポーツ用品の会社をそれぞれ経営していた実績があり、モンクレールのダウン・ジャケットが生まれるのは時間の問題だった。創業間もない1952年の冬、凍るような寒さの工場内で働く工員が、防寒のために、箱(のようなもの)を作って着用していた。それが同社のダウン・ジャケットの始まりといわれている。
また、前述の創業者2名の他に、当時世界的なアルピニストだったリオネル・テレイをテクニカル・アドバイザーとして迎え入れた点も同社の歴史を語る上では大きい。彼のプロとして、ユーザーとしての厳しい指摘が品質向上につながっていく。こういう真摯な社風だったからこそ、現在の最高品質のフランス産ダウン(フランス規格協会認定のキャトル フロコン)の使用や、表地のシェルファブリックの研究などに結びつき、同業他社を大きく引き離したのである。
飛躍的に信頼できるブランドへと成長したモンクレールはアルピニストや探検隊に欠かせない存在になっていった。1954年のイタリア・カラコルム登頂隊にダウン・ジャケットを提供。1964年はリオネル・テレイ自身が指揮を執ったアラスカ探検隊のオフィシャルサプライヤーを務める。そして1968年にはグルノーブルで開催された冬季オリンピックで、母国フランスのアルペンスキーチームのオフィシャルサプライヤーという名誉に輝いている。
1980年代以降はファッションブランドとしても人気を博すようになる。とくにダウンプルーフ加工から発展した"シャイニーナイロン"の登場で、タウンウエアとしての地位を不動のものにしたのである。
さて、現在の人気定番モデルがこの「TIBET」(チベット)だ。アーカイブモデル「GIDE」をベースにした2ndジェネレーションモデルをよりフィットさせ、着丈をショートサイズに改良している。2005年に発売されて以来、同ブランドに欠かせないダウン・ベストというわけだ。
シェルファブリックはモンクレールのために特別に開発されたNALON LAQUEで、極細のナイロンフィラメントを使用し、裏面には門外不出の特殊なダウンプルーフ加工を施している。これによって超軽量ながらしっかりとしたハリと質感を実現。さらにダウンの飛び出しを防ぐと同時に、ダウンに必要な十分な通気性を確保している。構造は3層構造になっていて、表地がシェルファブリック、内側にダウンバッグ、裏地にシェルファブリックと同素材のものを使用している。また、胸にはシンボルマークのフランスの国鳥COQ(雄鶏)が飾られている。アルピニスト御用達ブランドから、ラグジュアリーブランドへと華麗に転身したモンクレールだが、現在でもその最高品質を堅持するダウン・ウエアはフランスの誇りなのである。

文:倉野 路凡 写真:平野 多聞

MONCLER(モンクレール)

TIBET(チベット)
価格:6万6150円

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