ファッション

08.11.27 UPDATE

ペッカリーの手袋なくして、
日本の冬は越えられない

DENTS(デンツ)

ペッカリーの手袋といえば、やはりイギリスのデンツがもっとも有名だろう。デンツの歴史は古く1777年まで遡ることができる。イギリスのウースターという町でジョン・デントによって創業。息子のジョン・デント・ジュニアとウィリアム・デントも15歳のときから7年間にわたって父親のもとで修行し、手袋作りの技術力を身につけていく。息子たちによって、その後のデンツの礎が築かれたといってもいい。そんな高品質の手袋が広く認められるようになり、1953年にはエリザベスU世の公式行事の手袋を製作するという名誉を授かっている。
現在のデンツの工場はウィルトシャー州ウォーミンスターという美しい郊外の町にあり、今でも昔ながらの方法で手袋が作られている。たとえば使われる型紙は1839年から続くものを使用し、熟練したお針子が手縫いまたはマシンを使って丁寧に縫い上げていく。まるでこの工場だけ時間がゆっくりと流れているようだ。一組の手袋を作るのに32にも及ぶ工程を経てようやく完成するのである。 縫製方法は大別すると縫い目が表から見えないインシーム縫製と、合わせ目が外に出ているブリックシーム縫製(手縫い)がある。個人的にデンツらしいと思うのはやはり後者の縫い方で、間隔のあいたハンドステッチがペッカリーの手袋をさらに魅力的に見せているようだ。このペッカリーというのは南米に棲息する猪に似た動物で、いわゆる有蹄類の仲間。デンツが使用するペッカリーは飼育しているものではなく、野生のものらしい。また、長年にわたって同じ会社からペッカリーの革を仕入れている。 現在ペッカリーの手袋を展開しているのはデンツ以外にイタリアに数社あるが、デンツが取り扱うペッカリーとは品種が異なるようだ。デンツこそ本家本元と言い切ってもいいだろう。ライニングのないタイプも販売しているが、保温性を考えればカシミアのライニングが付いたものがおすすめ。ちなみにこのカシミアは昔からジョンストンズ(最高級のカシミアのマフラーで有名)のものを採用している。じつは数年前からペッカリーのCORK色の手袋を使っているのだが、本当にペッカリーは不思議な革で、弾力性はディアスキン(鹿革)に似ているものの、表面の感触はもっと乾いた感じがする。水に濡れると硬くなるが乾くと再び柔らかくなる。手にしたときの独特の感触が人気なのかもしれない。
ペッカリーの手袋に似合う服装を考えると、やはりイギリスと馴染みのあるフランネルスーツやツイードジャケット、コーデュロイパンツ、ポロコート、ダッフルコートなど。足元にスエードのフルブローグをコーディネートすると、往年のトラッドファンは涙を流すに違いない。それほどデンツのペッカリー手袋と日本人の付き合いは長いのである。

文:倉野 路凡 写真:平野 多聞

カシミアのライニングはジョンストンズ(最高級のカシミアのマフラーで有名)のものを採用。

DENTS(デンツ)

アイテム:ペッカリーの手袋
カラー:ブラック、ダークブラウン、コークの3色展開
素材:カシミア100%のライニング付
価格:5万7750円

お問い合わせ:

真下商事
TEL. 03-3663-7001
http://dents.jp