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07.08.21 UPDATE

大人の男が選ぶべきトートは
サドル革×ブライドル革の逸品

 英国の鞄や革小物のメーカーにはスタートが馬具作りという例が少なくない。しかもまるで約束事のように、どのメーカーも同国伝統の皮革であるサドルレザー、ないしはブライドルレザーのアイテムを展開しているのだ。そんな英国ブランドのなかにあって、ひと際、ステイタスを放っているのがW&Hギデン である。
  W&Hギデンもまた、馬具作りからその歴史を始めている。1806年、ウィリアム・ギデン氏とヘンリー・ギデン氏により創業された同社は、やがて品質の高い鞍(サドル)でその存在が知られるように。1815年には皇后陛下エリザベス2世の御用職人としてロイヤルワラントを賜り、その年の6月18日、ワーテルローの戦いにて英国の英雄ウェリントン公爵が同社のサドルにまたがってナポレオンの軍勢を迎え撃ったという逸話もある。
  このように馬具で頂点を極めたW&Hギデンは、その技術を活かして鞄や革小物などのレザーアイテムも生産。1990年代半ばに日本初上陸を果たし、我々日本人にもその存在が知られるところとなった。
  ところで、昨年は同ブランドの創業からちょうど200年目であった。そこで、その記念モデルとして昨秋リリースされたのが写真のトートだ。構造はシンプルだが、注目すべきは素材であろう。胴のメイン素材と内装素材はサドルレザーで、ハンドルやショルダーストラップ、開口部フレーム、コーナーガードなどがブライドルレザーという、英国鞄に相応しい素材使いだからだ。
  ちなみにサドルレザーとはステアハイド(牡牛の革)を植物タンニンでなめした堅牢なヌメ革の一種で、その名のとおり、元来は英国でサドル用の革として使用されてきた素材だ。いっぽう、ブライドルレザーはステアを植物タンニンでなめした後、そこに蜜蝋を染み込ませ、よりしなやかに、より堅牢に仕上げ た馬具用の革で、これまた英国が発祥地だ。
  このブライドルレザーだが、W&Hギデンでは約800年の歴史を持つ英ノーサンプトンシャー州のタンナー、J&F.J.バーカー社の製品を使用。800年前といえば遥か中世ということになるから驚く。また、タンニン槽に革を漬け込んでなめす伝統的なピットなめしを堅持しているのだが、なめし期間が1年弱というのも異例だ(通常のピットなめしは40日程度)。しかも「ギデンスペック」と称されるスペシャルレシピにより、職人の手仕事でじっくりと繰り返しワキシングが施された後、湿度が一定に保たれた保管庫で数カ月間熟成されるのだ。結果、全工程になんと約2年を要するというから、これまた驚くが、こうした手間暇の結果、革の繊維に密蝋がたっぷり染み込み、他のブライドルレザー以上に堅牢に仕上がり、柔らかな透明感を発揮するのである。
  ブライドルレザーの話で長くなってしまったが、こうしたこだわりの素材であつらわれた、このトートバッグ。写真では硬さを残しているが、使い込めばしなやかにたわむようになり、カラダに心地よくフィット。色と艶も増していくはずだ。大人の男が持てるトートは多くないが、これなら年齢を選ばず、一生使いも無理がない。

文:山田 純貴 写真:綿屋 修一

W&H GIDDEN(W&Hギデン)

アイテム: レザートートバッグ
品番: GDN002 450
外装: サドルレザー×ブライドルレザー(英J&F.J.バーカー社製 ギデンスペック)
内装: サドルレザー
収納部: メインコンパートメント1室(投げ込み式ポケット1室、スイス・リリ社製ジッパー付きポケット1室内蔵)
メタルパーツ: ニッケル製(ピンバックルDカン、フック)
サイズ: W40×H40×D20cm
カラー: ブラック、ダークブラウンの2色展開
製造国: イギリス
備考: ブランド創業200周年記念スペシャルモデル
価格: 29万4000円

お問い合わせ:

セルツ
TEL.03-5491-4491