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08.01.23 UPDATE

戦前の軸材を使った
本格的なセルロイド万年筆

 プラチナ萬年筆から販売されたセルロイド軸の万年筆が当時(平成13年)話題になった。現在、筆記具の材料はプラスチックが主流だが、プラスチックが使われる以前は、硬質ゴムの1種であるエボナイトやセルロイド製のものが多く、その懐かしさからか雑誌で紹介される機会も多かったように思う。
  セルロイドは硝酸繊維素(セルロースに硝酸を加えたもの)に樟脳とアルコールを混ぜて作った歴史上最も古い熱可塑性の合成樹脂で、1856年にイギリス人によって開発されている。この素材が日本に入ってきた歴史は古く、横浜の商館を通して1877年(明治10年)頃に輸入されたといわれている。日本でも製造技術が進み、筆箱やメガネ、人形、櫛、筆記具、学生服のカラー、グリコのおまけ、ピンポン球など、日用品の多くが作られた。粗悪品もなかにはあったが、日本のセルロイド製造の技術は相当高いものだった。成形しやすいだけでなく、その美しさから象牙やべっ甲の代用品に使われることも多かった。これほど日本で普及したセルロイドだったが、可燃性があるため製造段階での取り扱いが面倒だったことや、量産に適さないことから戦後廃れてしまった。とくに万年筆の場合は変形や、やせ(細る)を防ぐために1年半以上乾燥させる必要があったという。ヴァイオリンやピアノの材料を何年も自然乾燥させるのに似ていて、とても量産できるものではなかった。
  このように日本人と大変馴染みのあるセルロイドが、万年筆として復活したことは画期的だった。とくに大手の万年筆メーカーのプラチナ萬年筆が製造したということは、日本の筆記具の歴史上エポックメーキングな出来事だったのだ。現在販売されている「プラチナ♯3776セルロイド」は、キンギョ、イシガキ、グリーン、ベッコウの4色展開。なかでも赤と白のコンビネーションが美しいキンギョは、熟練職人がセルロイドの特性をうまく引き出して、日本ならでの伝統色を映した傑作である。綺麗なだけでなく、指に馴染みやすい質感、温もり感があるセルロイド軸の万年筆は、量産品を求めない愛好家だけでなく、一般ユーザーにとっても、魅力に満ちた筆記具である。

文:倉野 路凡 写真:綿屋 修一

Platinum(プラチナ萬年筆)

アイテム: 万年筆
シリーズ名: ♯3776
モデル名: プラチナ♯3776セルロイド
キャップ&胴軸: セルロイド
ペン先: 大型14K(14-20)
ペン先の太さ: 細字、中字、太字
サイズ: 全長146.9cm、最大径14.9cm
カラー: キンギョ、イシガキ、グリーン、ベッコウ
製造国: 日本
発売年月: 平成13年
価格: 各3万1500円

プラチナ萬年筆 TEL.03-3831-3113