アクセサリー

08.02.06 UPDATE

宇宙で高く評価された唯一のボールペン

 1965年NASAのジェミニ計画で宇宙飛行士が使ったペンシルは34本で4382.5ドル。1本あたり128.89ドルという高額な価格のため物議を巻き起こした。そこで、低コストの装備を探していたNASAの目にとまったのがフィッシャー社のスペースペンだった。1967年にはアポロ計画のために1本あたり6ドルで400本のスペースペンを採用することになる。その後、ソ連もソユーズの宇宙飛行士のためにスペースペン100本とインクカートリッジ1000本を採用。今も米露両国の宇宙飛行士はスペースペンを使い続けている。
 そのフィッシャー社はどこからの資金援助も受けず、宇宙で使える特殊なペンを独自に開発した。この開発にあたって代表者のポール・フィッシャーは100万ドル以上の巨額の大金を投じたといわれている。こうして誕生したフィッシャー スペースペンは厳しい検査をクリアしただけのことはあり、アポロ11号の月面着陸をはじめ、数多くのスペースミッションの場で役立ってきた。
 通常のボールペンは重力によりインクがボールの先へと落ちていくのだが、スペースペンは内部に封入された窒素ガスの圧力によってインクがボールペンの先へと移っていく。そのため逆さまにしてもすぐに書き始められ、無重力状態や水中、極度の温度差(−50℃〜200℃)という過酷な条件の下でもスムーズに書くことができる。あらゆる検査において書き味、持続力、インクの色彩の不変性が高く評価されているのだ。また特殊なインクを使っているため乾燥することがなく100年以上の保管も可能だという。通常のボールペンだと2、3年でドライアップしてしまい使えなくなってしまう。
 今回はフィッシャーのシリーズのなかでもフラッグシップモデルである「マーズ」と「ミレニアム」を紹介。「マーズ」は人類が火星に到着するまで、「ミレニアム」は、生涯の“インク切れ新品交換保証”商品である。デザインは「マーズ」がゴールドで「ミレニアム」がクローム。ともにスペーシーなデザインですっきりしている。価格がともに3万円以上してしまうが、これだけ凄い機能を備えたペンは他にはないのだから、安いとも言える。普通のビジネスマンが宇宙に行くことはまずないが、写真などの光沢のある面にも書くことができるなど、地上でのビジネスシーンでもかなり役立つことは間違いない。ライティングジュエルとは一線を画する贅沢な道具としてのペンだ。世の男性が使いたくなる不思議なペンである。

 

文:倉野 路凡 写真:綿屋 修一

Fisher SPACE PEN(フィッシャー スペースペン)

アイテム: ボールペン
シリーズ名: The 2010 pen
モデル名: 2010マーズ、2010ミレニアム
胴軸: 2010マーズ/ゴールド、2010ミレニアム/クローム
製造国: アメリカ
価格: 2010マーズ/3万6750円、2010ミレニアム/3万1500円

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ダイヤモンド
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