アクセサリー

08.08.19 UPDATE

ラストクロップスの革小物はニッポンの"宝"なのである

ワイルドスワンズの革小物を最初に目の当たりにしたのは、何年前のことだったでしょう。某雑誌の撮影で出会ったそれは、見事なまでに磨きあげられたガルーシャを使った財布とカードケースでした。流線を巧みに生かした個性的なデザインも新鮮でしたが、何より、その素晴らしい縫製とコバの磨きに圧倒されました。そして瞬時に「これは日本の製品であろう」と直感。編集担当者が確認したところ、ワイルドスワンズという、まさに日本の職人によるブランドの製品だったのです。
ワイルドスワンズは1994年、茨城県出身の鴻野三兄弟が立ち上げた革製品のファクトリーブランドです。後年、某高級会員制ショップがここの商品を取り扱ったことで、その名が広く知られるところになりました。世界中から最上級のアイテムをセレクトしているその会員制ショップに認められたということは、その製品クオリティの高さを証明するものだったからです。
先シーズンから三兄弟の長兄鴻野敏之氏が「徹底的にマニアックなモノづくりで、よりアダルトな製品を展開」するため、新ブランドの「ラストクロップス」をスタートさせました。ちなみにラストクロップスとは「最後の収穫」という意味ですが、このブランド名から、クオリティを突き詰めたモノづくりを目指そうとする、同氏の固い決意が感じ取れることでしょう。
写真は、そのラストクロップスの三つ折り長札ですが、ご覧のとおり、流線的なパターンや美しいコバ磨きはワイルドスワンズ由来ですし、ピッチが正確で、破綻なく施された縫製などを見ますと、その完成度は本家に勝るとも劣りません。また、この見事なまでに美しいコバは、切り目に丸みを付け、そこにいく度にもわたって繰り返し、磨きと染料塗りを施すことでできあがる、大変手の込んだディテールで、これもまた、ワイルドスワンズ時代からの敏之氏のこだわりのひとつなのです。
もちろん、素材選びにも手抜かりはありません。この札入れでは外板に英国の名門タンナー、J&Eセジュイック社の最高級ブライドルレザーを採用。しなやかで、滑らかな手触りが心地よく、奥行きを感じさせる表情ある光沢感が魅力で、しかも使い込んでいくと、さらに艶が増していくという楽しみもあります。いっぽう、内造りとライニングにはグレイン調のエンボスレザーを使用しており、これは本家とは異なる新機軸。この革は国産ステアハイドがベースで、非常にコシがあり、傷などに強いのが特徴です。
デザイン性や機能はいたってシンプル。ドレッシーな薄仕立ての財布を好む人にはカジュアルすぎるようにも見えましょうが、敏之氏のストイックなまでのクオリティへのこだわりが、ある種のオーラとなり、それがこの札入れをよりいっそう魅力的なものにしていることはきっとご理解いただけるものと思います。
昨今、日本の職人による手づくりの製品が見直されつつあるわけですが、そうしたなか、ラストクロップスの製品は私たち日本人が世界に向けて誇れる、そんな逸品であることは疑いないのです。

文:山田 純貴 写真:平野 多聞

2室のマチ付き札ポケットの仕切りが、コイン収納用のファスナーポケットを兼ねる構造。また、それら札ポケット内にカードポケットが取り付けられているのもユニークだ。新札ポケットも搭載。

オリジナルクロス、および英J&Eセジュイック社の純正クリームが付属する。頻繁である必要はないのだが、これらを使って、例えば1、2カ月に1回程度の頻度でセルフメンテを心がけたい。

丹念に本磨きが施された丸コバ。もし傷ついたり、ヒビ割れが発生したら、このコバ修理具「スリッカー」で磨くべし。これにより、末長くコバの美しさをキープできるのだ。別売り1890円。

LAST CROPS(ラストクロップス)

アイテム:三つ折り長札
モデル名:ANCHOR L(アンカー L)
外造り::ブライドルレザー(英J&Eセジュイック社製のトップグレード)
内造り:国産ステアハイド・ベースのエンボスレザー
ライナー:国産ステアハイド・ベースのエンボスレザー
収納部:ジャバラマチ付き札ポケット2室、新札ポケット2室、ファスナー付きコインポケット1室、カードポケット6室
そのほか:伊フィオッチ社製スナップボタン採用
サイズ:W18×H9.8cm
カラー:ブラック、チョコの2色展開
付属品:オリジナルクロス、およびJ&Eセジュイック社純正クリーム
価格:47,250円

お問合せ:
ケイズファクトリー
TEL.03-6226-3533