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08.10.07 UPDATE

モノづくりニッポンが誇る技術の粋を集め完成をみたメガネフレームの白眉

手に取り、あれこれと眺めているうちに「う〜ん、これは・・・・」と、思わずうなってしまいました。細部までこだわり、妥協なく作られたであろう、そのメガネフレームのあまりにも見事な出来栄えに圧倒されたのです。価格は税込みで6万3000円と確かに大変高額ですが、このクオリティなら、むしろお値打ちなのかもしれません。もともとアイウェアのセレクトショップ、オブジェ(1991年創業)のオリジナルは、その徹底したこだわりとずば抜けて高い製品クオリティがつとに有名です。そして今回、ご紹介する「obj Vintage I」もまた、同店のメガネに対する深い愛情と、モノづくりに対する強烈な情熱が実感できる、そんな逸品といえるのです。
このフレームは、ある日、ひとりの顧客が同店を訪れ、古いメガネの修復を依頼したことがきっかけで誕生しました。昭和初期に製作されたと推定できるそのフレームを手に取った同店のスタッフは、素晴らしい出来栄えに感嘆し、さらに修復を進めていくなかで、さらに見事な造作に感激したそうです。そして磁器の金継ぎのような技術で修復を終えた後、その顧客に、このフレームの存在感と美しい造作からなる深い味わいを現在の素材と技術で再現したい旨を告げたところ、快諾が得られ、ここからこの「obj Vintage I」の開発が始まりました。信頼できる各分野の技術者らと協業し、素材、構造、メッキ加工、磨きなどの仕上げ、装着感などを吟味し、徹底的に研究を重ねたうえで、1年8カ月後に完成をみたのですが、商品化の後、さらに1年以上を費やし、ノーズパッドに採用しているべっ甲の止め方、ホールド感、質感などに改良を施し、今回、ここに見る「obj Vintage I」が誕生したわけです。
ところで本品の最大の特徴は、2種類のチタニウムによって構成されている点にあるといえましょう。すなわちフロントは軽量で、耐久性に優れたピュアチタン製で、いっぽう、テンプルには弾性や耐久性に富むベータチタンを採用。しかも、そのテンプルに微妙な厚みの変化をつけることで、さらに心地よい装着感を可能にしているのです。
ところで、前述したように、このフレームは昭和初期頃のメガネを由来としているわけですが、そのため、一山式と呼ばれる非常にクラシックなデザインになっています。すなわち、今日一般に見られる丸型や楕円型のノーズパッドは採用されておらず、代りにブリッジそのものが鼻当てになっているのです。とはいえ、堅い金属が直接鼻に当たるのを避けるため、ブリッジの内側に柔らかいパッドが取り付けられています。そして「obj Vintage I」では、そのパッドに、贅沢にもデッドストックの本べっ甲が使われています。
ちなみに、本品には仕上げなどの違いから、4種のバリエーションが存在。このうち、写真で紹介しているのは「アンティークゴールド」と称されたタイプで、地金のチタンに24Kゴールドの厚メッキ(通常の約10倍)を施し、その上からアレルギーフリーのグレーメッキをかけ、職人の手仕事によるシャーリングで風合いを出したものです。しかもノーズパッドの本べっ甲には上トロ甲を使用。このほかに、純銀厚メッキなどを施したフレーム×上バラ甲パッドの「アンティークシルバー」、18Kゴールド厚メッキなどを施したフレーム×白甲パッドの「ゴールド」、プラチナメッキなどが施されたフレーム×黒甲パッドの「プラチナ」の3タイプも用意されています。
筆者が感心したのは、フレームばかりではありません。この製品のために開発されたメガネケースがまた、大変素晴らしいのです。厳選された高級木材に施されているのは、越前の漆職人が数十の工程を経て仕上げた最高の漆塗り。しかも、ケースの蝶番は型から起こしたオリジナルというのですから、これはもう、大変なこだわりようです。また、ケースを開くと、室内にはソフトで繊維の細かいセーム革が張りつめてあり、フレームを優しく保護してくれるのです。さらに、このケースを包む和紙には、奈良県吉野の桜の里で名工が手漉きの技術をもって丹精込めて作る桜紙を採用。透けるような繊細な風合いとしなやかさをもちつつも大変丈夫な、この最高級和紙が「obj Vintage I」をさらにハイステータスなものに見せてくれるのです。
と、このように検証していくにつれ、この「obj Vintage I」はプロダクトというよりは工芸品と見なすべきものであって、しかもアートのようなオーラさえ感じられる、大変見事な"作品"なのだと理解できるのです。と同時に、日本が誇る新旧のさまざまな技術の粋を、メガネフレームという小さな世界の中に一堂に見てとることもできるのです。いえ、決して大袈裟ではありません。機会あらば、ぜひ一度、手に取り、その真価を目の当たりにし、"感動"してみてください。

文:山田 純貴 写真:平野 多聞

フレームタイプは古典的なオーバルシェイプだが、素材はハイテクなチタン製というのが面白い。また、テンプルエンドには肌に優しい特殊シリコンが画期的な接着法でベータチタンに取り付けられている。

メッキやシャーリングが施されたチタン製のブリッジに取り付けられた本べっ甲製のノーズパッド。写真のアンティークゴールド・タイプでは、その本べっ甲のうち、茶の斑が入った上トロ甲が採用されている。

専用ケースは、より選りの高級木材に越前の漆職人が漆塗りを施した極上品で、蝶番はこのために型から起こしたものというから驚きだ。室内にはセーム革を張りつめ、ケースを包む和紙には吉野産の桜紙を使用。

OBJ(オブジェ)

アイテム:メガネフレーム
モデル名:OBJ VINTAGE I(オブジェ ヴィンテージ1)
品番:OV-01
タイプ名:一山式オーバルフレーム・タイプ
素材:フロント=ピュアチタニウム、テンプル=ベータチタニウム、ノーズパッド=本べっ甲
サイズ:レンズ=W37×H26mm、鼻幅26mm、全幅113mm、テンプル長130mm
加工&仕上げ:アンティークゴールドメッキフレーム×上トロ甲製ノーズパッド(写真)、アンティークシルバーメッキフレーム×上バラ甲製ノーズパッド、18Kゴールドメッキフレーム×白甲製ノーズパッド、プラチナメッキフレーム×黒甲製ノーズパッドの計4タイプ展開
製造国:日本
付属品:オリジナル漆塗り木製メガネケース(セーム革内装)など
価格:6万3000円

お問合せ:
オブジェイースト
TEL.03-3538-3456
http://www.obj.co.jp
http://www.boq.jp/eyeguide/08.html