アクセサリー

09.12.22 UPDATE

少しの光でもエイジングするので、
この革財布は店頭販売してません!

ガンゾ

「プルアップレザー」なる言葉があります。「プルアップ」とは、革を裏側から指先で押しますと、革に加脂されているオイル分が繊維内を移動し、結果、その押された部分に白い痕跡が現れる状態を意味しています。そして、ヌメ革系のオイルドレザーのうち、エイジングによってこのプルアップ状態になった革の総称がプルアップレザーなのです。しかし、オイルドレザーならどれもが使い込むとこうなるというわけではなく、プルアップするのはごく一部のタイプだけ。しかも、それらは概して高価な革なのです。
そのプルアップレザーの代表的存在が、伊バダラシィ・カルロ社がバケッタ製法で生産するミネルバレザーです。バケッタ製法はイタリアのトスカーナ地方で古代に行われていたフルベジタブルタンニンなめしによる製革法です。いつ頃かはわかりませんが、この古典的ななめし法は断絶してしまい、文献の中にだけ存在していたのですが、それを現代に蘇らせたのがフィレンツェの製革と革製品作りの専門校で教鞭をとっていたカルロ・バダラシィ氏でした。そして同氏が自ら編み出した理論と技術を実現すべく、同市サン・ミニアト地区に50年ほど前に設立したのがバダラシィ・カルロ社です。現在、バケッタ製法を行うタンナーは他に2社ほどあるようですが、先発は同社であり、数年前まではバケッタ製法レザーといえばバダラシィの革を意味していたほどでした。
写真は、1917年(大正6年)創業の老舗革製品メーカーの味岡が展開するハイグレードブランド「ガンゾ」の二つ折り財布ですが、この製品の表版と内造りに使われているのが、そのバダラシィ社のバケッタ製法レザーの1タイプ「ミネルバ・ボックス」です。
「ミネルバ・ボックス」はアルプス地方で飼育されたステア(成牛)のショルダー皮を、栗の木などから採取され作られたタンニン溶液のピット(槽)につけ込んで長期間なめしたのち、牛のすね骨などを煮沸してとった牛脚油などを手仕事で加脂してできあがる、いわばオイルドヌメなのですが、同社の他のバケッタ製法レザーとは異なり、表面にシュリンク状の控えめなシボがあり、ソフトでなめらかな心地よい手触りを特長としています。また、タンニンや牛脚油などの影響なのでしょう、独特のニオイがあるうえ、爪傷などがつきやすいのですが、指先でこすると容易にそれを消すことができます。
しかし、この革の最大の特長といえば、そのエイジングのスピードと、エイジングによってもたらせる著しい“化け具合(!)”にあります。使い方にもよっては、わずか1、2カ月でかなりのエイジングが進み、すっかりエイジングすると全く違う財布に見えてしまうほど色とツヤが深まり、しっかりプルアップするのです! それでいて、その繊維内のオイル分はほとんど革の銀面に染み出てこないため、表面がベトベト&ヌルヌルな状態にはならないのですから、なんとも不思議な革なのです。
革好きやエイジング好きにとり、実に魅力的な素材といえますが、ガンゾではここにご紹介の新作財布で初めて、表版と内造りの両面に採用。ガンゾが誇る日本の熟練職人の手仕事による大変みごとな縫製や、日本伝統の切り目本磨きなどの素晴らしさも相まって、まさに極上の革小物に仕上がっています。
他人のとは違う個性的な財布をお探しであるとか、エイジングを堪能したい、プルアップを体感したいという方にぜひともお薦めしたいのですが、じつはこれ。店頭では購入できません。というのも、この「ミネルバ・ボックス」。ビックリするくらいエイジングが進む革だと前述しましたが、太陽光はもちろん、なんと蛍光灯の光にも反応。人の体温やわずかな手脂にさらされても、たちまち色が変わってしまうため、店頭に置くことが難しいのです。そのため、購入できるのは味岡公式のショッピングサイトでのみ! 店に置くことができない財布だなんて、それもまた、なんだか魅力的に感じてしまうのは筆者だけでしょうか?

文:山田 純貴 写真:猪又 直之

GANZO(ガンゾ)

アイテム:コインケース付き二つ折りウォレット
シリーズ名:MINERVA NATURAL(ミネルバナチュラル)
商品名:札入
品番:wgan57110
表版素材:MINERVA BOX(ミネルバ・ボックス) ※バケッタ製法による牛革ショルダーヌメ。伊バダラッシィ・カルロ社製
ポケットライナー:ポニーレザー
カラー:ナチュラルのみ
製造国:日本
価格:2万5200円(税込・送料別途) ※オンラインショップ限定販売商品。イニシャルサービス含む

お問合せ:
AJIOKA Online Shop
http://item.rakuten.co.jp/ajioka

参考サイト:
http://www.ganzo.ne.jp
http://www.ajioka.co.jp

※この情報は、2009年12月22日の情報です。