CLOSE UP ACCESSORIES

   コードバンと聞いて、オールデンの靴を思い浮かべるという人は少なくないでしょう。今回ご紹介するこのコードバンブリーフケースは、そのオールデンの正規輸入代理店であるラコタ社のハウスブランド、K.T.ルイストンの最新作です。
ラコタの代表、血脇孝昌氏は靴材料の卸業を営む家庭の出身。若い頃にアメリカンファッションの洗礼を受け、40年近く前、まだ日本では無名だったオールデンの存在をいち早く見い出して、その製品およびコードバンの魅力を世に紹介してきたという人です。1991年、東京・浅草に革靴など皮革製品の企画・製造、輸入卸を営むラコタを設立。その頃から取り引きしていたハンドソーンシューズの工房がある米国東北部メイン州の小さな町ルイストンに由来するブランド名を冠し、1994年、K.T.ルイストンを正式に立ち上げました。当初は米国のファクトリーとコラボレートし、オールデンにも通じる伝統的アメリカンスタイルの靴を展開。コードバン製ではないものの、筆者はオールデンのセカンドブランド的な存在ととらえていました。
 そして、やがて国産コードバンを使った革小物やベルト、ブリーフケースも手掛けるように。今でこそ他社もこの人気素材の革小物やベルトを展開していますが、筆者の記憶では、K.T.ルイストンはその先駆けブランドのひとつでした。とはいえ、コードバンの鞄となると、革小物とは違って大きな面をとる必要があるためか、今でも非常に珍しく、それゆえマニアックなアイテムなのですが、K.T.ルイストンでは実は人気の定番商品とのこと。しかも、この新作は既存モデルをベースにしつつ、さらなるバージョンアップが図られているのです。

 まず、採用されている国産コードバンは、これまでがオイルを少なめにした水染めタイプだったのに対し、今回のものは手触りがソフトでマットな光沢を持ち、磨くほど輝くように独自の加工が施されています。コードバン専門の加工会社にスペシャルレシピでオイルアップしてもらい、ラコタのスタッフが手仕事でさらなる仕上げを行うという手間のかけようで、マットだが奥行きを感じさせる、大変美しい表情のコードバンとなっています。
 また、ハンドル取り付け部にオリジナルの金具を追加することでハンドル自体の耐久性を向上させたり、コバをへり返しから日本伝統の切り目本磨きにするといった変更もなされ、結果、これまで以上のオーラが実感できる逸品に仕上がったのです。筆者もこれを目の前にしたとき、「これは使うのが惜しくなるくらいきれいな鞄だ」との感想をもちました。希少な革を贅沢に使い、それに手間と時間を要する特殊な加工を施し、職人の熟練した手技で製鞄されたこのブリーフケース。コードバン好きならずも思わず魅了されてしまう、これは大変見事な極上鞄だと思うのです。

K.T. LEWISTON(K.T.ルイストン) ブリーフケース KTS−022 17万8500円
素材/国産コードバン サイズ/W37.5×H28.6×D9.5cm
カラー/ブラック、ダークバーガンディ(#8)の2色展開 製造国/日本
問:ラコタ TEL.03-3545-3322 http://www.lakota.co.jp
※この情報は、2011年3月3日の情報です。

 

文:山田 純貴 写真:猪又 直之