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世界遺産にまつわる新事実に思いを馳せるデルタのスペシャルエディション

 今回、このクライスの存在を知り、筆者は己の不明を恥じました。ご紹介の財布はコードバン製。ドイツの製品と聞いて「ヨーロッパでもコードバン好きが増えているから、それで企画されたのだろう」と勝手に考えていたのですが、聞けば、なんとこのメーカー。15年ほど前から、こうしたコードバンの革小物を生産してきたというのです! 
 当時は、オールデンの正規インポーターのラコタ社がハウスブランドであるK.T.ルイストンにて、日本製コードバンを使い、日本の職人が作る革小物とベルトを展開し始めた頃だったと記憶しています。コードバン小物はまだ他社製品にはなく、したがって筆者はK.T.ルイストンがコードバン小物の先駆的ブランドと解してきたのですが、実は同時期、ドイツでもそうした製品が作られていたと知り、大変驚いたわけです。もっとも、クライスの製品はこれまで本国で流通するのみ(一部オーストリアなどでも販売されてはいます)で、ラコタ社が今年(2012年)8月に取り扱いを始めるまでは、その存在が日本で知られることはなかったのです。
 ちなみに、クライスは1963年9月、職人エリック・クライス氏(1965年にマイスターの資格取得)がドイツ中西部の都市フランクフルトに設立したベルト&革小物のメーカーです。現在でも工場の規模は小さく、生産量も限られているようですが、良質な革や生地のみを使い、熟練職人が手仕事を活かしつつドイツらしい質実剛健、かつ高品質なレザーアイテムを作り続けています。ちなみに、コードバンを取り扱うようになったのはオールデンのコードバンシューズがヒントであったそうで、したがってクライスのコードバン製品はオールデンと同様、すべて米ホーウィン社の革が使われています。日本でも一時、数社がホーウィンコードバンの革小物を展開しましたが、実は同社のコードバンが革小物に使われるのは稀で、その意味からもクライスの製品は希少であるといえます。しかも表版のみならず内造りやライナーにも惜しまず、このラグジュアリーな革を使用。手に取れば吸い付くようなタッチ感が心地よく、使い込めば色艶がさらに深まっていくのは、オールデンで体験ずみの方が少なくないことでしょう。
 ちなみに、表版はコードバンを厚口一枚革のアンラインド仕様。コバは基本的に手仕事で磨き上げられた切り目仕立てですが、この表版の両端のみは、薄く剥いて内造り側にへり折りするという手法が採用されています。これにより、普通なら表版のその部分に出るはずの縫い糸を隠すことができ(したがって表版には下側にのみ、縫製が入った独特のデザインになっています)、よりエレガントな見栄えになっているわけですが、実は、こうしたへり折りは日本製コードバンでは難しく、オイリーで切り裂けに強いホーウィンコードバンだからこそ可能な仕立てなのです。
 なお、日本で展開されているクライスのコードバン革小物では、あえて表版の下側に施された縫製をホワイトステッチにし、それをアイコンに。また「KREIS」のロゴもオリジナルを採用するというこだわりも取り入れられています。また、希少なウィスキーコーバンを裏使いすることで、ホーウィン社のスタンプをあえて表版に見せ、それもアイコンにしたバックサイドというレアカラーが用意されているのも、コードバン好きにはたまらないところ。おまけに運がよければ、他のカラーでも札室内壁や内造りなどにそのホーウィンスタンプが入った固体に当たることもあるとのことです。
 プライスはたしかに革小物としては高価です。しかし、ドイツの職人が手作りした正真正銘のドイツ製であるうえ、ホーウィンコードバンを贅沢に使った大変レアな製品であることを鑑みれば、その価格に見合った価値があるのではないでしょうか?

KREIS(クライス)

アイテム:コインポケット付き2つ折りウォレット
商品名:WALLET WITH COIN POCKET(ウォレット ウィズ コインポケット)
商品番号:KSW-002
表版素材:米ホーウィン社製コードバン
内造り素材:同上
ライニング素材:同上(表版裏面はアンラインド仕様。カードポケットのみカンガルーレザー使用)
収納部:札室1室、コインポケット1室(差し込み式フラップ付き)、カードポケット4室、マルチポケット2室
サイズ:W12.5×H9.2cm
カラー:バックサイド(表版にホーウィン社のスタンプ入り)、ウィスキー、モカ、オックスブラッド(バーガンディ)、マリン(ネイビー)、ブラックの全6色
製造国:ドイツ
付属品:オリジナルフエルト製ポーチ
価格:75,600円

お問い合わせ:ラコタ TEL.03-3545-3322 www.lakota.co.jp
※この情報は、2012年10月17日の情報です。

文:山田 純貴 写真:猪又 直之