メンズシューズ

06.10.27 UPDATE

コンフォートラストとウッドネイル製法が
もたらす唯一無比の個性と心地よい履き心地

 今、靴通の間で俄然、注目度が増しているのが東欧のシューメーカーだ。オーストリアやハンガリー、ルーマニアなどには小規模ながら、ごく限られた顧客を相手に、伝統的な製靴法で良質なハンドメイドシューズを作り続けてきたシューファクトリーが現存しており、その存在が社会主義の崩壊以降、次第に西欧で知られるようになった。そして、そうした流れがこの数年、日本にも到達し、すでにいくつかのメーカーは日本上陸を果たしてもいる。ここで紹介のバリントは、そうしたブランドのひとつなのである。
 バリントは、ルーマニアのトランシルバニア地方で製靴の修行を積んだライオス・バリント氏が独立後の1985年にオーストリアのウィーンで創業した、比較的新しいオーダーメイドシューズのメーカーだ。東欧の靴の多くがそうなのだが、バリントの靴も整形外科を背景にしたコンフォタブルなプロポーションを特徴にしており、それは写真のモデルにも採用されているフォンテンブロー別注ラストにも共通している。我々日本人の足型にならった木型であることはもちろんだが、通常の既製靴ではフラットに作られる踵から土踏まずまでの形状を丸くすることでホールド感を高めるなど、徹底してコンフォートを追求している。
 ちなみにバリントは縫製による製靴も手掛けるが、フォンテンブローで展開されているモデルでは、いずれも古典的なウッドネイル(木製の釘)製法が採用されている。この大変珍しい製法では、アッパーとインナーソールの固定も本底付けもウッドネイルによってあつらわれる。結果、縫製による底付け以上に堅牢な靴が出来上がるばかりか、コバまわりも美しく仕上がり、且つリペアが容易となるなどの利点が得られるのだ。
 さらに素材に対するこだわりも徹底しており、写真のモデルではアッパーに素晴らしい光沢を見せる最高級カーフが採用され、また、ソールには名だたる高級シューブランドが最上級の底材として認知する独レンデンバッハのヌメ革を使用。同社はドイツ西部では現存する唯一のオークピットなめし(樫の渋を含む溶剤で満たされた槽に皮を漬けてなめす古典的なめし法)のタンナーであり、そのヌメ革はしなやかだが非常に耐久性に富んでいるのだ。
 ところで昨今はロングノーズがスタンダードなシュースタイルとなったが、ブダペストスタイルが採用された本品では、トゥはあくまでトラッドなショートノーズのエッグトゥであり、これがかえってロングノーズに慣れ切った我々の目には新鮮に映るのである。また、二の甲まではフラットで、しかもそのフラット面が広く取られたフォルムも非常に珍しいものだ。
 さて、世にあまたある高級靴とはひと味もふた味も違うバリントの靴。その快適な履き心地と、独特だがノーブルで品あるスタイルには靴好きならずとも興味を引かれるに違いない。

文:山田 純貴 写真:綿屋 修一

BALINT(バリント)

アイテム:Vフロントプレーントゥシューズ
モデル名:SMOKING SHOES(スモーキングシューズ)
品番:3.175
製法:ウッドネイル
木型:フォンテンブロー別注ラスト
アッパー:オークバークなめしによるスムースカーフ
ライナー:英国産ベビーカーフ(ブラックは純アニリン染料による染色)
ソール:レザーソール(独レンデンバッハ社製ヌメ革使用)
カラー:ブラックを含み全15色展開
価格:288,750円(税込)

お問い合わせ:

フォンテンブロー
TEL.03-5459-0933