07.11.17 UPDATE
フィレンツェの日本人職人とトゥモローランドの
コラボによるスタイリッシュ・チャッカ
特にナショナリストではなくとも、大リーグのイチローとか映画監督の北野武とか俳優の渡辺謙といった、異国で活躍し、世界中から認められた日本人を見ると心強く思え、ちょっと嬉しくなる。ここで紹介する靴はそんな日本人のひとりで、フィレンツェ在住の若手靴職人、深谷秀隆氏とトゥモローランドのコラボレーションによるエクスクルーシブ・ブランドの1作だ。
靴職人でデザイナーの深谷氏は大阪モード学園の出身で、名古屋のシューメイキング教室「グレースシューズ」にて製靴法の基礎を学んだ後、渡欧。アレッサンドロ・ステッラ氏やロベルト・ウゴリーニ氏といったフィレンツェの名匠に師事し、苦学しつつ手縫い靴の技術を会得した。
そしてその技術力を見込んだのが、あのフィレンツェの高級セレクトショップ「タイ ユア タイ」のディレクターにしてイタリアきっての洒落者フランコ・ミヌッチ氏だった。同氏の後押しもあり、深谷氏は同店の斜向かいに2000年、ス・ミズーラの工房「イル ミーチョ(イタリア語で「仔猫」の意)」を開設。ミヌッチ氏の見込みどおり、ほどなく、深谷氏の技術力とデザインセンスは同地のVIPや洒落者たちから高い評価を得た。ちなみに深谷氏はこうしたス・ミズーラと並行し、タイ ユア タイのオリジナルシューズにおけるディレクターとしても活躍中である。
このトゥモローランドとのコラボ・ブランドが立ち上がったのは2006年春夏のことで、深谷氏のレディメイドではこれが日本初の展開だった。モットーは「進化するイタリアンクラシックシューズ」。両者で会合がもたれ、そこでシーズンごとのテーマを設定。トゥモローランドによれば、深谷氏は「靴のデザインをスタイリング全体から構築できる数少ない職人」とのこと。
木型はレディメイドの限界までひねりが入れられ(そのぶん、人間の足形によりかなった形状になっている)、私たち日本人の足形に無理なくフィットするよう調整。また、素材はイル ミーチョのス・ミズーラで採用しているものと同じ上質なもののみを使っており、しかも革本来の利点を失しないよう、製革工場から出荷される際に使われる上薬をほとんど塗らぬようオーダーしてもいるのだ。
こうしたこだわりが、写真のチャッカにも反映されているのはいうまでもない。たとえばアッパーに希少なスーパーバックスキン(牛革の銀面を起毛させた高級皮革。しなやかで、型崩れしにくく、起毛の手触りが極めてソフト)を採用。木型はややポインテッド気味のラウンドトゥで、よく見ると控えめな盛り上がりがあり、それがこの靴全体に品のよさをもたらしている。いっぽう、シャープに屹立するサイドウォールは足元をスタイリッシュに演出。足首を確実にホールドする小さく絞り込まれたトップホールや、著しく立体的に丸みを帯びた、本底なども深谷氏のこだわりによるディテールだろう。
チャッカブーツというと、クラシカルだが少々あか抜けない靴との印象を持つ人も少なくなかろう。しかし、本品はそうした先入観を一掃してくれる、誠にエレガントでスマートな極上チャッカなのである。しかもジャケットスタイルからカジュアルまでコーディネートの幅が広いのも嬉しいのだ。ちなみにトゥモローランドでは今季「カーディガン感覚で羽織れる軽いジャケットとのコーディネート」を提案しているそうだ。
文:山田 純貴 写真:綿屋 修一
HIDETAKA FUKAYA PER TOMORROWLAND
(ヒデタカ フカヤ ペル トゥモローランド)
| アイテム: チャッカブーツ 品番: 65-01-64-01401 製法: マッケイ アッパー: スーパーバックスキン ソール: シングルレザーソール(ヒドゥンチャネル仕立て) カラー: ダークブラウン、ネイビーの2色展開 製造国: イタリア 価格: 7万9800円 |
お問い合わせ:
トゥモローランド
TEL.03-5456-4630
