メンズシューズ

07.11.23 UPDATE

こだわり満載の洒落靴なのに、お値段5万円台だなんて!

 十万円以上の高級靴がよく売れている。だが「靴はせいぜい2、3万円台まで」という意識が普通だった十数年前には、そうした高額な紳士靴は極めて稀な存在でしかなかった。まぁ、当時は靴好きの間でさえ、ちょっと頑張れば手が届くリアルプライスのボーダーは5万円台という意識があったし、今でも気後れなくデイリーで履くことのできる"実用靴"は5万円台まで、と考えるのが一般的だ。したがって5万円台以下で、素材にもデザインにも仕立てにもこだわりのある洒落靴があれば、それはお値打ち靴に違いない。
 ここで紹介するイタルスタイルの新作ストレートチップもまた、お値打ち5万円台の実用靴だ。木型は旬なセミロングノーズのエッグトゥで、全体はコンフォタブルな内振り形状である。また、パーフォレーションがトゥキャップやアデレード(竪琴形の内羽根のこと)にはもちろん、トップラインにも配されているのがなかなか小粋だし、アッパーに異なる風合いの革をコンビ使いしているのも大変お洒落だ。
 ちなみにそのスムースレザーはアノネイ社のフレンチボックスカーフで、いっぽう、粗シボの革はなめしや加脂の後、ハタ振り(専用機械で革を上下に激しく振り、革にシボ付けなどを施す作業。別称バタフリ)で揉み革調に加工が施された伊コンチェリア・オット・チェント社の「トスカーノ」なるプルアップシュリンクレザーである。
  さらに細部を検証してみると、例えばレースステイのカンヌキ(両羽根の合わせ部分の断裂を防ぐ縫製のこと)に編み糸が用いられていることに気がつく。
 このユニークなディテールは補強を目的としたものだが、ささやかながら本品にクラス感をもたらしてもいるようだ。また、ダークブラウンで統一されたレザーインテリアもエレガントな印象であるし(アッパーがブラックの場合、レザーインテリアはブラック)、グッドイヤー製法ながらコバの張り出しを極力抑え、そこの施されたアウトステッチをファンジ仕様で目立たぬものにもしている。さらに本底側もヒドゥンチャネル仕立てとし、ヒールもこだわりのテイパードヒールを採用。土踏まずはレザーでカバーしたダブルシャンク仕様、ウッドペース(木釘)を打ち込むことで、そのシャンクをしっかりと固定させている。
 以上からもおわかりのとおり、本品は各所にイタルスタイル流のこだわりが取り込まれた、なかなかの傑作靴なのである。しかもシボ革を採用したことでヴィンテージライクな雰囲気もあって、スーツにもジャケパンにもカジュアルにもほどよくマッチしそうである。聞けば「ハイエンドクラス」という、イタルスタイルのオリジナルシューズではトップグレードの1足とのことだが、それでもなお、この価格は本当に助かる。ハイクォリティでありながら、良心的な価格でスーツなどを提供している同店らしい値付けなのである。
 無理のいらない価格で、このグレードの靴が手に入るとは誠に嬉しいかぎり。5万円台靴などと侮れない、正真正銘のこれはお値打ち靴なのである。

文:山田 純貴 写真:綿屋 修一

ITAL STYLE(イタルスタイル)

アイテム: パンチドキャップトゥ・オックスフォードシューズ
シリーズ名: ハイエンドクラス
品番: ISL-007
製法: グッドイヤーウェルテッド
アッパー: トゥキャップ&バルモラル=仏アノネイ社製ボックスカーフ「VOCALOU(ヴォッカロー)」、ヴァンプ&クォーター=伊コンチェリア・オット・チェント社製プルアアプシュリンクレザー「TOSCANO(トスカーノ)」
ソール: シングルレザーソール(ヒドゥンチャネル仕立て、半カラス仕上げ、真鍮製爪先ネイル打ち込み、踏まず部分にペース打ち込み)
カラー: ブラック、ボルドーの2色展開
生産国: 日本
価格: 5万8800円

お問い合わせ:

イタルスタイル表参道店
TEL.03-5785-1771