メンズシューズ

07.11.30 UPDATE

クラシックベースの美しく、コンフォタブルな小粋ブーツ

 ファッションの街パリにあって、その伊達男ぶりが際立つジェラール・セネ氏。自他共に認めるファッションリーダーである同氏の着こなしは、常にフランスの洒落者たちの模範として注目の的なのだ。
  1986年、ゲイリー・クーパーやハンフリー・ボガード、ケリー・グラント、スティーブ・マックイン、アルフレッド・ヒッチコックといったハリウッド映画の黄金時代を彩った紳士たちの愛用靴(あるいは銀幕中で履いていた靴)を復元し、それらをコレクションとして展開するユニークなコンセプトのG.ロッドソンを立ち上げ、成功に導いたセネ氏だったが、クロージングに本格的に注力すべく、1992年、シューズブランドだったG.ロッドソンを手放し、代わって自らの名を冠したブランド、ジェラール・セネをスタートさせた。現在、靴中心のジョルジュ・サンク店とクロージング中心のヴァンドーム店の直営2店舗をパリで展開している。
  そのセネの靴はエレガントだがエキセントリックな個性で知られる。しかし、その最大の特長は、次の2点にあるといっていいだろう。 第一は、その独創性に富んだスタイルと意匠が、実はG.ロッドソンから受け継いだ「クラシック」に根ざしたものだということである。一見するとモードシューズのようだが、繊細なシルエット、ロングノーズのシャープなフォルム、小粋で色気あるパターンや飾り、優雅なカラー、土踏まずを強く絞り込んだ レザーソール、そしてトップグレードの素材と、こうした諸要素はハリウッドスターたちの愛用靴をはじめとするヴィンテージのビスポークにしばしば見られる特長だ。それゆえ、セネの靴は特別個性的であっても、その佇まいに気高さと品格が感じられるわけである。
  また、もうひとつの特長は、セネの木型があまねくピエ・トゥールナン(仏語で「インゲン豆」の意)と呼ばれる内ひねりのフォルムである点だ。歩行時、かかとからつま先へと移動する体重の重心が絶えず内側にかかるのが自然だが、歩行の癖や悪習慣、あるいは疲労などによって気づかぬうちに外側に重心が移ってしまい、結果、歩きにくさや、さらなる疲労を招く。だが、セネの内しぼりの木型は人の足形に忠実な形状であると同時に、アッパーが甲などの足全体を内側に押し込み、歩行の重心が常に内側にかかる状態を保つ働きをする。履き心地が犠牲にされた靴にも見えるが、実は意外にも大変優れたコンフォートシューズなのである。
  さて、クラシカルでコンフォタブルなセネだが、「大胆すぎるデザインがちょっと」とためらいがちな人には、この新作のジョドファーブーツをお薦めしたい。パターンは極めてオーソドックスで、しかし定番木型「F31」の採用によってもたらされるスリムなプロポーションは、やはりこのブランドらしい。
  捨て寸が非常に長いチゼルトゥと垂直に屹立するサイドウォールによるシャープでエッジの利いたスタイルと、足首をしっかりとホールドする小ぶりのトップホールが、このモデルの最大の特長だろう。また、そのトゥに施された美しいボルドーのグラデーションは足元に控えめな色気を添えてくれるに違いない。
ところで、輸入元のGMTではこのブーツを「丈短めのウールパンツや、裾をロールアップさせたホワイトデニムなどに合わせてカントリーっぽく履きこなしてほしい」と提案している。ドレッシーだが、そうしたカジュアルスタイルにもマッチする汎用性の広さも、この靴の魅力なのかもしれない。

文:山田 純貴 写真:綿屋 修一

GERARD SENE(ジェラール セネ)

アイテム: ジョドファーブーツ
モデル名: PHOENIX(フェニックス)
製法: マッケイ
木型: F31
アッパー: カーフ
ソール: シングルレザーソール(ヒドゥンチャネル仕立て、ロールウエスト仕立て)
ピンバックル: ニッケル製
カラー: ブラックにボルドーアンティーク仕上げのみ
付属品: 樹脂製シューキーパー、シューポーチ、シューズボックス
価格: 15万7500円
※伊勢丹新宿店、バーニーズ ニューヨーク銀座店の限定販売

お問い合わせ:

GMT TEL.03-5453-0033
伊勢丹新宿店 TEL.03-3352-1111
バーニーズ ニューヨーク銀座店 TEL.03-3289-1200