メンズシューズ

08.01.21 UPDATE

ゲーリー・クーパーが愛したツートンの
ブローグシューズを完全復刻

 昨年(2007年)10月、「アルティオリ西麻布」と「ラフィネリア六本木」が統合した新店舗「アルティオリ丸の内」が東京・丸の内にオープンしたが、それを記念しリリースされたのが、このツートンのフルブローグである。しかも、往年のセレブリティがアルティオリにオーダーした靴を復刻し、数量限定でリリースする「リヴァイバル エディション」の第一弾モデルでもあるのだ。
  1945年に故セヴェリーノ・アルティオリ氏によってミラノで創業され、今日、数少ない全工程自社一貫生産体制を堅持する高級シューメーカー、アルティオリの製品はその優れた品質やノーブルでエレガントな佇まいにより、過去63年間、世界中の錚々たるVIPや著名人らに愛用されてきた。たとえば、アメリカのジョージ・ブッシュ元大統領やロシアのウラジーミル・プーチン大統領ら大物政治家、ローマ法王の故ヨハネ・パウロ2世など宗教界の重鎮、あるいはフレッド・アステアやロバート・デニーロ、ショーン・ペンら銀幕の大スターらの名を上げることができる。そして写真のこのモデルも、実はかの名優ゲーリー・クーパーがかつてアルティオリにオーダーした際に製作され、その後、同社のアーカイブに保存されていた木型を使って復刻されたものなのだ。
  ゲーリー・クーパー(1901〜1961年。米国出身)といえば『モロッコ』『打撃王』『真昼の決闘』といった名画で主演を務め、端正な顔立ちや優雅で色気あるふるまいで世界中の女性たちを魅了したダンディな二枚目スターだったが、本品はそうしたキャラクターを見事に体言した1足に仕上がっている。その木型は奇をてらわぬベーシックなラウンドトゥながら、トゥからヴァンプに至るアッパーの厚みを低く押さえ込んだ品あるフォルムが特長。ウィズはゆったりととられているにもかかわらず、靴全体のシルエットは誠にスタイリッシュである。
  いっぽう、デザインの最大の特長はやはりツートン使いにある。この種の靴はコレスポンデントシューズ、スペクテーターシューズ、コンボスシューズなどと呼ばれ、そのルーツは1840年代にイギリスで誕生したクリケットブーツとされる。これが19世紀末にリゾートシューズとして履かれ、1920年代から'30年代には上流階級のスポーツ観戦用シューズとして大流行した。ちなみにクーパーが『夢想の楽園』でデビューしたのは1926年で、『モロッコ』で大スターの仲間入りを果たしたのが1930年、『ヨーク軍曹』で最初のアカデミー賞主演男優賞を獲得したのが1941年であるから、栄光の階段を昇っていったまさにその時代に、こうしたツートンのブローグシューズが洒落靴として人気を博していたことになる。
  もっともクーパーがアルティオリに靴をオーダーしたのは、もっと後年のことだったようだ。というのも、この復刻モデルのデザインは二代目当主で現社長のヴィトー・アルティオリ氏が自らの記憶を頼りに復元したものだからだ。同氏がアルティオリで靴づくりを始めたのは16歳のとき、すなわち1952年だという。そのヴィトー氏の記憶にデザインが残っているのだから、クーパーが同社にこの靴をオーダーしたのは1950年代のことであったのかもしれない。
  いずれにしてもダークブラウンとベージュのコンビ使いはグラマラスすぎず、あくまで端正であるし、親穴を小ぶりにしたパーフォレーション(穴飾りの一種)や細かいピッチのピンキング(ギザ飾り)などは誠に品よし。それでいて大ぶりのメダリオンでさりげなくゴージャス感を主張するなど、ゲーリー・クーパーの人柄が実感できるシックでエレガントな1足となっている。あるいは、ブリティッシュなベーシックスタイルでありながら、そこにイタリア靴らしい軽快さ、スマートさを取り込んだ美靴であるともいえるだろう。
  なお、この「ゲーリー・クーパー リヴァイバル エディション モデル」はごく少量の限定生産品で、今回を逃せば二度と手に入らない希少な逸品でもある。ゲーリー・クーパー・ファンにはもちろんのこと、こだわりある洒落靴をお探しの方もお見逃しのないように。

文:山田 純貴 写真:綿屋 修一

ARTIOLI(アルティオリ)

アイテム: フルブローグオックスフォード・コレスポンデントシューズ
シリーズ名: リヴァイバル エディション
モデル名: ゲーリー・クーパー リヴァイバル エディション モデル
製法: マッケイ
アッパー: カーフ
ソール: シングルレザーソール(ヒドゥンチャネル仕立て、半カラス仕上げ)
サイズ: 6〜8.5(日本サイズ24.5〜27.0cm相当)
カラー: ダークブラウン×ベージュのみ
その他: アルティオリ丸の内店オープン記念限定発売
価格: 15万円

お問い合わせ:

アルティオリ丸の内 TEL.03-3213-7766