メンズシューズ

08.02.01 UPDATE

長嶋氏のこだわりから生まれた九分仕立てのメイド・イン・ジャパン

 高級靴ショップのトレーディングポスト(現在はライフギアコーポレーション傘下)や靴ブランドの山長印靴本舗(現在の三陽山長)の創立者であり、近年の靴人気の礎を築いた功労者として日本の紳士靴業界にあまねくその名を知られる長嶋正樹氏が2005年に設立した紳士靴の企画・製造会社。マークブラドックはその組織の名称であり、また、同社が展開するオリジナルのブランド名でもある。長嶋氏の人となりについては本サイトに掲載されている竹川圭氏の「shoe人十色」第7回に詳しいので、ぜひそちらを参照していただきたいのだが、ここでは同氏が山長の立ち上げ以来、日本の職人による靴づくりをもり立てるべく大いに注力してきたことを強調しておきたい。
 ところで、マークブラドック社はOEMやコラボレーションモデルの企画・生産からスタートしており、現在では以下の3つのオリジナルブランドを擁している。

マークブラドック/日本の職人技によって最高水準の靴づくりを追求するブランドとして創業時から展開。製品はグッドイヤー製法で、価格は5万円台。イセタンメンズとのコラボレーションが好評だが、この2月1日からは阪急百貨店での展開もスタートした。

ダグマークソン/グッドイヤー製法に加え、独自に開発し、特許も取得しているプラットグッドイヤー製法の製品も展開するブランド。中心価格は3万円台〜4万円台。大丸や高島屋などで販売されている。ちなみにプラットグッドイヤーとはプラットフォーム製法(アッパーと中底を袋縫いし、そこにクッション材を巻き込むようにして入れる製法)とグッドイヤー製法を混合させた製法で、中底に替えてクッション材を底付けに用いることでグッドイヤーの利点を生かしつつ、反りのよい履き心地とスマートなデザインを可能にしたものだ。

ボールバンド/1940年代〜1970年代に存在したアメリカのスニーカーブランドで、2007年に日本製として復活。バルカナイズ製法。セレクトショップ中心で展開されている。

 さて、写真は上記3ブランドのうちのマークブラドック・ネームによるサンプルシューズである。上記でも述べたように、このブランドはグッドイヤー製法で展開されているが、実は写真のサンプルは底付けの際のすくい縫いが手縫いであるなど、製靴工程の9割が手縫いの、いわゆる九分仕立てで作られている。したがって、手縫いの比率が高いぶん、グッドイヤーより履き心地はソフトで反りのよいものになるいっぽう、価格も既存モデルよりぐっと高額になるわけで、いわばこれはワンランク上のマークブラドックということになる。
 木型は長嶋氏が調整を行っており、チゼルトゥで、サイドウォールが屹立したシャープなシルエットながら捨て寸を程よく抑えたいまどきのスタイルである。しかも、かなり内ひねりのフォルムで、ヒールカップやトップホール(履き口)も小ぶりであるなど、私たち日本人の足にコンフォタブルにフィットする工夫が見てとれる。ちなみに木型への吊り込みには十分な時間を要しているそうで、それゆえ履き込んでも型崩れしにくいのだという。
 ディテールを見れば、アッパーの各切り替えやトップホール、タングがレベルソ仕立て(革を折り返すことで縫い糸を見せない仕立てのこと)になっており、アッパー後部はなんとヒールカップに切り替えのない、いわゆるシームレスヒールになっているなど、誠にこだわりのある仕立てが採用されていることがわかる。また、コバは山長でもお馴染みのヤハズ仕上げで、しかもそのコバに施されたアウトステッチが驚くほど内側に施されており、腕の立つ熟練職人の手仕事がうかがえる。
 このように、このサンプルシューズは男の靴を知り尽くした長嶋氏が旬のエッセンスを取り入れつつ、最上の品質を実現すべく日本の職人に作らせた、こだわりの逸品なのである。ただし市場への投入はこの秋からとのことで、価格などもまだ未定。靴好きとしては、しばらく待ち遠しい日々が続きそうだ。

文:山田 純貴 写真:綿屋 修一

MARK BLADOG(マークブラドック)

アイテム: キャップトゥオックスフォードシューズ
シリーズ名: ハンドメイド九分仕立てシリーズ(仮称)
製法: 九分仕立てグッドイヤーウェルテッド
アッパー: 仏アノネイ社製ボカールカーフ
ソール: シングルレザーソール(ヒドゥンチャネル仕立て、ヤハズ仕上げ、半カラス仕上げ)
カラー: ダークネイビー(他の色は未定)
価格: 約15万円(予価)
発売: 2008年AW予定

お問い合わせ:

マークブラドック TEL.03-3400-0850