メンズシューズ

08.02.08 UPDATE

イタリア随一の着こなし名人が
認めた美しきスエードダービー

  「タイ・ユア・タイとは何て粋で素敵なネーミングだろう」と、いつもそう思う。「ネクタイをしっかり絞めなさい」とでも訳せばいいのだろうか。英語名だが、だからといってこの名を最初に知ったとき、英国やアメリカのショップとは考えなかった。ちょうどクラシコイタリア・ブームの中で、その存在を知ったからだ(もっともタイ・ユア・タイはクラシコイタリア協会のメンバーではない。ちなみに旧青山店のオープンはクラシコ・ブームの真っ只中だった1996年である)。
  ところでタイ・ユア・タイといえば、創設者でディレクターのフランコ・ミヌッチ氏である。ピッティ・ウォモ(フィレンツェで開催されている世界最大のメンズプレタの展示会)でイタリア一の洒落者として一目置かれ、日本のメンズファッション誌にもたびたび登場して伊達男ぶりを披露する御仁だ。なにせファッションセンスに長けたイタリア男たちの間でリスペクトされているのだから、その洒落者ぶりは半端ではなく、しかもどんなものを身につけてもすこぶる粋に見せてしまうのだから本当にすごい。
  だから、そんな同氏の眼鏡にかなった深谷秀隆氏という若きシュークリエイターも大した人物なのだ。イタリアに勇飛し、名工ロベルト・ウゴリーニ氏らに師事して手縫い靴の技術を会得。その腕前を見込んだミヌッチ氏の後押しで、フィレンツェにてタイ・ユア・タイの斜め向かいにス・ミズーラの工房「イル・ミーチョ」を開設。加えてタイ・ユア・タイのオリジナルシューズでデザイナー兼ディレクターも担うこととなった。
  そのミヌッチ氏×深谷氏のコラボ作ともいうべきオリジナルシューズの代表作が、写真のダービーである。深谷氏自らが製作した木型は細身だが、わずかにチゼルのシルエットを表すラウンドトゥからブラッチャー(外羽根)に至るフロントが比較的短く、それゆえシャープになり過ぎず、足元をスッキリ小ぶりに見せられる。いたずらに流行のロングノーズに寄らず、靴全体のシルエットのバランスでスマートに見せている点に深谷氏の巧みさを実感する。
また、アッパーに使われているカーフスエードの起毛は、その繊細な風合いが本当に美しく、思わず見とれてしまうほどだ。穴飾りはトゥキャップのパーフォレーションとして控えめに採用されていて、その親穴は小さく、ピンキング(ギザ飾り)も遠慮がち。ブラッチャーの左右にさりげなく白い太番手糸で飾りが手縫いで施されているが、これも過度に主張することのない品のよさである。ちなみに製法はグッドイヤーなのだが、見た目に無骨さがなく、そのシルエットはあくまでエレガント。しかも手に持つと、これがマッケイ靴のように軽く、ちょっと驚く。
昨年11月に根津美術館近くに移転したばかりのタイ・ユア・タイ青山でも定番として人気の、この靴。小粋、かつクラシカルな佇まいなのだが、実は同店のコメントどおり、「オールマイティな靴なのでさまざまなスタイルに」よくマッチする。スーツにはもちろんだが、たとえばデニムや明るめのコットンパンツとも相性がよさそうだ。と、ここでふと考えてみたのだ。「ミヌッチ氏だったら、この靴をどんなふうに履きこなしてみせるのだろうか」と。

文:山田 純貴 写真:綿屋 修一

TIE YOUR TIE(タイ・ユア・タイ)

アイテム: ストレートチップダービーシューズ
品番: 3-0201-00-003
製法: グッドイヤーウェルテッド
アッパー: イタリア製カーフスエード
ソール: イタリアンレザー製シングルソール(ヒドゥンチャネル仕立て)
カラー: ミッドブラウンのみ
付属品: 木製シューキーパー、馬毛シューブラシ2タイプ、オリジナルシュークリーム、交換用シューストリング(丸ヒモタイプ)、布製ポーチ3枚、化粧箱
製造国: イタリア
価格: 15万7500円

お問い合わせ:

タイ・ユア・タイ青山 TEL.03-3498-7891