メンズシューズ

08.02.16 UPDATE

靴を知り尽くした老舗インポーターが
プロデュースする超お値打ち実用靴

以前からしばしば主張しているのだが、靴関連のショップやインポーター、企画会社などが展開するオリジナルブランドの靴は、もっと評価されてしかるべきだと思う。自社工場はなくとも、日本人の足の特徴と、靴というアイテムに熟知した人たちが「靴とはこうあるべき」との哲学を抱きつつ、それぞれに培ってきた知識やノウハウを活かし、ユーザーからの要望などを取り込みながらプランニングやディレクションを手掛けた結果、生み出されてきた商品だ。悪いはずがない。
こうした靴の多くは3万円台〜5万円台という比較的買いやすい価格に抑えられている。当然、超高級靴と比すれば劣る面もあろうが、しかし、重要なポイント(例えば日本人の足の骨格に適った木型が採用されているとか・・・・)は逃さず、むしろそうした点にこそこだわりをもって作られており、デザイン面でもほどよくトレンドが取り入れられていることなども考慮すれば、お値打ち感は圧倒的だ。たしかに雑誌などではあまり取り上げられることがないが、店頭では、実はこの種の靴がよく売れているとも聞いている。 前置きが長くなってしまったが、ここでご紹介するチェント・フェリーナも、そうしたブランドのひとつである。展開しているのはサントーニやモレスキーなどのインポーターとして知られるオークニジャパン(本社/東京・浅草)だ。同社の設立は1981(昭和56)年だが、実は前身の大国商会は1907(明治40)年、広島で創業している。
大国商会は革問屋としてスタートしたが、その後、靴や革小物、皮革製雑貨などの輸入や卸、小売りなども手掛けるようになった。そのオークニジャパンが創業100周年を迎えた昨年、新たなオリジナルブランドを立ち上げたのだが、それがこのチェント・フェリーナである。
昨秋デビューの、この紳士靴ブランド。特徴の第一は、前述したように同社が長年にわたって培ったインポートシューズのノウハウがいたるところに活かされている点にある。たとえば名よりも実をとったと思われるタンナーの選定などは、国内外に幅広くネットワークをはりめぐらす同社ならではのもの。とはいえ、その選定に3年を費やしたというから、なかなか慎重だ。
結果、選ばれたのはイタリア・サンタクローチェにある2社である。この町はアルノ川流域に位置し、古くから製革業が盛んであるという。ヨーロッパではこうした水質に恵まれた土地に製革業が根づき、また、その供給先となる製靴工場も集中するという例が多く、イギリスならちょうどノーサンプトンがそれに当たる。
ところで、その2社とは1958年創業のヌオヴァ・オズバ社と1955年創業のカルリ社だ。自社内にクロームを再利用する清浄化システムを所有する前者は従業員30名ほどの会社で、メゾン系ブランドなどに製品を供給するいっぽう、「ハリス」という靴ブランドも展開。製革と製靴の両方を手掛けることで、他の靴メーカーに的確なアドバイスができる強みをもつ。また、一世風靡した某デザイナーズブランドやイタリアの老舗靴メーカーなどに良質なクロームレザーを供給する後者は20人規模のタンナーで、原皮を同国内と北米から毛付きの状態で仕入れ、同社工場内で洗浄・石灰浸けから行っている(つまり製革の最初の段階から自社で手掛けているということ)のが特徴だ。
ところでチェント・フェリーナの第3の特徴には、製靴と仕上げを世界トップクラスの技術をもつ日本の職人が手掛けているという点を挙げておきたい。ことに仕上げについては革の特性を活かし、かつ繊細で味わい深い濃淡を表現するため、熟練職人の手仕事による後染め(靴がほぼ完成した段階で色付けを施す染色法のこと)を採用。そのため日産は12足程度というから、これは正直、リーズナブルな実用靴とは思えぬ手間のかけようだ。 さて、写真はそのチェント・フェリーナの、3月リリース予定の新作である。今回が初導入となる木型「CF24」はラウンドトゥながらサイドウォールが屹立したシャープなロングノーズと、ほどよくグラマラスなプロポーションが特徴。しかも足の形状に適った内振りフォルムである。
デザインでは昨今人気のアデレード(竪琴形の内羽根のこと)を採用、しかも6アイレットというのも小粋だ(一般にドレスシューズは5アイレットが多い)。また、パーフォレーション(切り替えに沿って施される穴飾り)の親穴やピンキング(ギザ飾り)を廃してエレガントに見せる手法も昨今のトレンドに適っている。ちなみにアッパーには前述したヌオヴァ・オズバ社の上質なカーフが採用されている。
以上からもおわかりのとおり、旬なフォルムやディテールを取り入れ、独自開発による木型と厳選した革を使い、手の込んだ仕立てや仕上げで作り出された、このフルブローグ。これがアンダー5万円というのだから、このお値打ちぶりには正直、驚かされるばかりだ。
ちなみに「CENTO」とはイタリア語で「100」という意味で、また、「FELINA」は「Felice、Fortuna(祝う、幸運)」を合成した造語であるという。「自社の創業100周年を祝う」との意味であろうが、同時に「この靴を履く人々に多くの幸運が訪れるように」とのオークニジャパンからの願いも込められたネーミングなのだそうな

文:山田 純貴 写真:綿屋 修一

CENTO FELINA(チェント・フェリーナ)

アイテム: フルブローグシューズ
品番: 1915
木型: CF24
製法: マッケイ
アッパー: 伊ヌオヴァ・オズバ社製カーフ(クロームなめし、オークニジャパンエクスクルーシブ)
仕上げ: 後染めハンドフィニッシュ
ソール: シングルレザーソール(ヒドゥンチャネル仕立て)
カラー: ブラック、アンティークブラウンの2色展開
製造国: 日本
発売月日: 2008年3月上旬以降より順次展開予定
価格: 4万8300円

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オークニジャパン
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