メンズシューズ

08.03.07 UPDATE

老舗メゾンと新進シューファクトリーの
コラボから生まれた美形フレンチシューズ

 パリのメゾンのなかでも、エルメスなどとともに別格の存在として世の男たちの憧憬を誘う高級ブティック、アルニスはロシアからの移民でテーラーのジャンケル・グランベール氏により、パリのセーヌ川左岸サンジェルマン・デ・プレにほど近いセーブル街に1933年に開設された。その後、多くの芸術家たちが暮らすモンパルナスにも近いとあって、パブロ・ピカソ、ジャン・コクトー、アンドレ・ジイド、ジャンポール・サルトルといったそうそうたる文化人らが集うサロンとなる。1947年には当時、ソルボンヌ大学で教鞭をとっていた建築家ル・コルビジェから「黒板に書く際に腕を上げやすいジャケットを」との注文を受け、エレガントで動きやすいスタンドカラージャケット「フォレスティエール(森の番人ジャケット)」を製作。これはなんと、今なお同店の人気の定番アイテムだ。また、1950年代にはケーリー・グラント、オーソン・ウェールズ、アーネスト・ヘミングウェイといったアメリカのアーティストたちからも愛顧を得て、アルニスの名は海外でも広く知られるところとなった。
 そんな芸術の香りをまとった歴史を誇るアルニスの代表的な製品といえば、シルクやカシミアなどの厳選した天然素材で仕立てたスーツやジャケット、あるいは毎シーズン、新しい28柄を各色40本のみ製作するプリントタイなどがあげられるわけだが、今回はオリジナルの靴のご紹介である。靴好きなら、写真を見てすぐに気づかれよう。アルニスと同様、パリのメゾンであるコルテの最も有名なプレーントゥにそっくりなのである。
 実はそれもそのはずで、製作しているのはそのコルテで、つまり、これはアルニスとコルテのコラボレーションによって誕生したモデルなのだ。
 では、コルテのプレタとどう違うのかといえば、それは木型だ。ベクデーグル(鷲のくちばし)と称される繊細美麗なシルエットを表すチゼルトゥの木型「001」をベースに、そこに改良を施し、より甲高に調整してあるのだが、これはアルニスの顧客に年配者が多いことに対応したものであるらしい。そう聞けば、フラットに立ち上がったサイドウォールやタイトに絞り込まれたトップホール、コンフォタブルな内振りの形状などはそのままだが、あの独特のシャープさは控えめとなり、どちらかというと昨今のトレンドである丸みを帯びた穏やかな表情が感じられる。また、コルテのプレタでは細身のパンツをノークッションで、といったような着こなしが似合うが、このアルニス別注バージョンなら、より幅広いコーディネートが可能だろう。例えば、昨今人気のアメリカンカジュアルなスタイルにだって結構マッチしそうだ。
 もちろんアッパーに採用されているカーフも極上で、その繊細な風合いもこの靴の魅力のひとつ。品質面では、なんといってもコルテの仕事だけに全く申し分のない素晴らしいものだ。確かに高価だが、それだけの価値が十分ある逸品なのだ。

文:山田 純貴 写真:綿屋 修一

ARNYS(アルニス)

品番:30300001
製法:グッドイヤーウェルテッド
アッパー:カーフ
ソール:シングルレザーソール(ヒドゥンチャネル仕立て)
カラー:ブラック、ダークブラウンの2色展開
付属品:木製シューキーパー
価格:36万7500円

お問い合わせ:

三喜商事
TEL.03-3238-1385(東京)
TEL.06-6203-1388(大阪)