メンズシューズ

08.03.14 UPDATE

スペインで発見! アイビースリッポンの
"サバイバー"が日本デビュー

 トリッカーズやジェラール セネ、アルフレット・サージェントなどのインポーター、GMT社を主宰する横瀬秀明氏が今春スタートさせたのが、ここで紹介するアメリカンスタイルのスリッポンを展開するスパニッシュブランド、ビエント・アメリカーノである。「VIENTO」とはスペイン語で「〜風」という意味で、このブランド名は「アメリカ風」と「アメリカの風」のダブルミーニングとなっている。
 ファッションのアメリカンカジュアルへの回帰とともにスリッポンもトレンドのアイテムとなっているが、'70年代や'80年代に親しんだ本格的なアメリカンスリッポンを知り尽くす横瀬氏からすると、現行の製品はどこか物足りないものがあるという。しかも本格的なアメリカンスリッポンを生産し続けているファクトリーを探した求めてはみたものの、米国内ではほぼ全滅状態であることがわかった。
 「高級ブランドのアレン・エドモンズがまだ、アメリカ国内で生産していますが、僕としては、例えば昔のバスのようなカジュアルな値段で展開したかったんです」(横瀬氏)。
 そうしたなかで行き着いたのが、スペイン・アリカンテ地方にある某シューファクトリーだった。アリカンテは英国のノーサンプトン、イタリアのモンテグラナーロと並ぶヨーロッパにおける靴の3大聖地のひとつで、リーズナブルだが良質な靴を生産するファクトリーが数多く集まっている。そして横瀬氏が探しあてた、その某ファクトリーは現オーナーの祖父が米国メイン州にあるスリッポン工場で働いた後に帰国し、このアリカンテに開業したメーカーである。しかも、現在にいたるまで創業者が米国で会得した技術を駆使し、アイビースリッポンのみを作り続けてきたという、大変希有なシューファクトリーなのだ。製品はおそらくOEMとして主にスペイン国内で流通しているようだが、その技術の正統性とクオリティの高さを認めた横瀬氏は同ファクトリーとのコラボレーションブランドとして今回、このビエント・アメリカーノを立ち上げた次第だ。
 では、デビュー作となるヴァンプシューズを見てみよう。
 アッパーはアメリカンスリッポン伝統のガラスレザーである。聞けば、実はこの「ブリリアントレザー」と命名された革もスペインの某タンナーの製品であるという。しかもこの会社、かつてはアメリカのスリッポンメーカーにこの革を供給してきた実績ももつ、スリッポン用レザー専門のタンナーなのだ。ちなみに、このヴァンプでは本底に使用されている革(オイル分が芯とおしされているので堅牢なうえ、雨にも強い)も、このタンナーの製品が採用されている。
 手仕事による味わいあるモカ縫いを含む製甲は、同ファクトリーが提携するモロッコのファクトリーで行われている。また、他のスリッポンでは単なる飾りであることが多いヒールカップのキッカー(もう片方の足でこの部分を踏んで押さえ込むことで靴の脱着を容易にするための部位)も手縫いで、しかも大きく、張り出しが十分であることから実用性もしっかり備わっている。さらによく見れば、ヒールカップの両脇2カ所、およびアッパーの内側1カ所に小穴が開いているのがわかるが、これもかつてのアメリカンスリッポンに見られたディテールであり、今なお、この靴が樹脂製ではなく、古典的な木製の木型で吊り込まれたことの証なのである!
 なお、このヴァンプにはトラディショナルなショートノーズの従来タイプとともに、昨今の傾向を加味し、それよりややロングノーズにしたGMTエクスクルーシブの新タイプが同時に展開されている。昔懐かしいアイビースリッポンをお望みなら前者を、今の気分を優先したい向きには後者をお薦めしよう。しかも、いずれも企業努力により、アンダー2万円というお値打ち設定。これもまた、誠に嬉しい点であろう。

文:山田 純貴 写真:綿屋 修一

VIENTO AMERICANO(ビエント・アメリカーノ)

アイテム:スリッポンヴァンプシューズ
品番:写真左/ショートノーズタイプ #1501 右/セミロングノーズタイプ #2001
製法:マッケイモカシン(ウエルトに360度アウトステッチ)
アッパー:「ブリリアントレザー」(スペイン製。牛革にガラス加工)
モカ:ハンドソーン(ショートノーズタイプは拝みモカ、セミロングノーズタイプはツイストステッチ。ともにハンドソーンによるビーフロール付き)
インテリア:アンラインド仕様
ソール:シングルレザーソール(スペイン製。オープントラック仕様。オイルアップ加工)
その他:アウトサイドヒールカップにハンドソーンによるキッカー入り
製造国:スペイン(モカ縫いを含む製甲はモロッコ)
カラー:2タイプともにブラック、アンティークバーガンディの2色展開
価格:各18,900円

お問い合わせ:

GMT TEL.03-5453-0033)