メンズシューズ

08.03.28 UPDATE

いまや希少な真正メイド・インUSAのローファーは買って損なし

 この2年ほど間でジワジワ盛り上がってきたアメカジ人気だが、今季はさらに勢いが増しているようだ。これ以前にアメカジが風靡したのは15年ほど前のことだから、今のブームは本当に久しぶり。長らくアメリカンスリッポンも目立たぬ存在でいただけに、この春夏の人気を見るにつけ、数年前が嘘のように思える。とはいえ、リアルなメイド・インUSAのスリッポンは絶滅危惧種の生き物に匹敵するほどの状態。はっきり言って、消滅寸前である。
 そんななか、今なお手縫いのアメリカンローファーを細々と作り続けているアメリカの某ファクトリーに、あのシップスがスペシャルオーダーしたのが、このデッキ仕様のコインローファーなのである。
 やや細身の木型で別注したとのことだが、エレガントな靴に馴染んでしまった目には無骨にも映るこのプロポーション。これぞまさにトラディショナルなアメリカンローファーのスタイルではないか! しかも、モカ(甲部のフタ状の革とアッパーをつなぐ縫い目のこと)やビーフロール(モカ両脇とサドルストラップをつなぐ、その名のとおりのビーフロール状の縫製のこと)、キッカー(ヒールカップに設けられる横一文字の張り出しのことで、ここにもういっぽうの足を引っ掛けると素足履きでも靴が脱ぎやすくなる。靴中まで濡れるデッキシューズに不可欠なディテール)はいずれも昔ながらの手縫いで、さらにそのビーフロールが大げさに盛り上がっていたり、アッパーにワイルドな風合いのオイルドレザーが使われている点なども極めて"アメリカ的"といえるだろう。ちなみにこの表情に富んだアッパーの革はアメリカ原産の牛皮をなめし&加工したもので、堅牢だが大変柔らかく、しかもライニングが施されていないため、素足に優しく、反(かえ)りも上々だ。なお、本底には濡れたデッキ上でも滑らぬよう波形パターンが刻まれたボートソール(デッキソール)が採用されているが、このパーツも非常に柔らかく、おまけに軽量である。
 この靴を眺めつつ、その出来栄えに「メイド・インUSAもまだまだ捨てたものじゃないゾ」などとつぶやいてしまった。熟練した技術を感じさせる、誠によい出来栄えで、しかも味わいがある。「昔のメイド・インUSAはみんなこういうものだった」とオジサンである筆者はしみじみと思うわけである。グローバル化とか合理化もよい点は多々あろうが、アメリカンブランドのアメリカンスタイルを謳っているのに、作っているのはアジア某国、というのでは何だか騙された感じが拭えないし、あまりに夢がなさすぎる。
その点、このコインローファーには嘘がない。ブランド名だって「シップス・メイド・インUSA」だもの。直球勝負で、すがすがしい。そのシップスが「ショーツに合せるなどし、カジュアルなスタイルで履いて欲しい」と提案しているのだが、例えば、やはり今季のトレンドである白のショーツに素足履き、といったマリンなコーディネイトなどにも、この靴はなかなかぴったりだと思うのである。

文:山田 純貴 写真:綿屋 修一

SHIPS MADE IN U.S.A.(シップス・メイド・インUSA)

アイテム:コインローファー
製法:モカシンマッケイ
アッパー:アメリカンオイルドレザー
ソール:ホワイトラバーソール(ボートソール・タイプ、オープントラック仕様、360°アウトステッチ)
モカ:手縫いによる拝みモカ・タイプ(手縫いによるビーフロール付き)
その他:アンラインド仕立て。アウトサイドヒールカップに手縫いによるキッカーあり
製造国:アメリカ
カラー:ブラウンのみ
価格:2万9400円

お問い合わせ:

ミュージアム フォー シップス
TEL.03-3496-0481
http://m.shipsltd.co.jp/