メンズシューズ

08.05.17 UPDATE

アメリカ靴の本流ブランドがこだわった
履き心地フレキシブルなスエードスリッポン

 アメリカンファッションの回帰により、ヨーロッパ各国でオールデン(1884年、米マサチューセッツ州ミドルボロウでチャールズ・H.オールデン氏が創業)の人気が高まっていると聞いた。もちろん、もともと熱心な支持者があまたいる日本でも、ここにきて再注目されているのは言うまでもない。アメリカンシューズブランドは(消滅してしまったブランドも含め)数あれど、その象徴的存在は昔も今もオールデンをおいてほかにないのだから・・・・。
 かつて、日本ではオールデンは名実ともに“幻の靴”だった。正規ディストリビューターであるラコタの血脇孝昌社長によれば、1960年代終わり頃、アメリカンファッションに憧れる一部の若者たちの間で「ブルックスブラザーズにすこぶる履き心地のいい、馬の尻の革でできたローファーがあるらしい」と噂になっていたそうな。正規どころか平行でも輸入されていなかったため、それを日本で目にすることは出来なかったが、1971年、17歳で初渡米した血脇社長はブルックスブラザーズのショップでその“幻の靴”を目の当たりにし、大きな衝撃を受けたという。そして大卒後、アメリカに長期滞在した際、ついに購入。そして、そのコードバン製ペーニーローファーをブルックスブラザーズに供給していたのがオールデンなのである。ブルックスブラザーズでは現在でもそのローファーを取り扱っているのだが、いずれにせよ、当時オールデン自体は全くの無名の存在だったわけである。
 ちなみにオールデンの製品を日本に最初に紹介したのはビームスで、それは1980年のこと。そのときもコードバンのローファーで日本初上陸を果たしている。現在ではプレーントゥダービーやVチップ、チャッカブーツなども人気が高いが、当初はオールデンといえばコードバンのローファーだったのだ。
 そんな同ブランドのペニーローファーが、このところのアメリカンファッション・ブームで再ブレイクしているわけだが、写真で紹介しているのはコードバン製ではなく、とりわけ今の季節に素足で履きこなしたいスエード・タイプである。基本的デザインは定番のコードバン製と同じで、木型も同じく「バンラスト」だ。
 「バンラスト」は1960年初期にこのペニーローファー用に開発されたもので、親指の付け根→トゥ→小指の付け根に至るラインをエッジの立ったウォール状にすることで、つま先にゆとりが出来、モカを乗せやすくしたフォルムとなっている。また、オールデンの木型に特徴的なインサイドストレート&アウトサイドカーブの内振りの形状(歩行時、かかとからつま先に至る体重移動が絶えずインサイドに向かっていくため歩きやすく、長時間の歩行でも疲れにくい)なのは当然だが、その内振りのラインが「モディファイドラスト」や「ミリタリーラスト」に比べると穏やかで、履き口もゆったりしている。さらに、ヒールカウンター(ヒールカップの中芯)が小ぶりであるため、かかとのフィット感が適度にリラックスしたものになっているのも特徴だ。ちなみに、この写真のモデルを含む日本で展開されているペニーローファーはインステップを高くして甲にゆとりをもたせており、サドル部分からトゥに至るプラグが長めになっている。
 ところでアッパーに採用されているスエードは銀付き(スムースな表革を漉き取らず、そのまま利用しているスエードのこと)ゆえに厚口で、高級感があり、コシが強く、耐久性に優れている。しかも、一部を除いてアンラインド(ライニングを施していない仕様のこと)で仕立てられており、トゥの先芯も薄いものに。加えて、アウトソールの革にオイルアップを施すなどアウトソールやインソールもソフトなものにしているので、グッドイヤー靴ながら初めて足入れしたそのときから、反(かえ)りがよいソフトな履き心地の、素足にも優しい1足となっているのだ。
 たしかにコードバンのペニーローファーも魅力的ではあるが、フレキシビリティに徹底してこだわったこのスエード製なら、さらにリラックスした履き心地が体感できるはずだ。しかもジャケパンスタイルなどカジュアルダウンしたビジネススタイルにも、今夏トレンドのロールアップデニムやホワイト系ショートパンツといったアメカジライクな休日の着こなしにも違和感なくマッチ。年齢を問わず、しかも末長く履きこなせる大人のためのカジュアル・オールデンとしてお薦めしたいのだ。

文:山田 純貴 写真:綿屋 修一

ALDEN(オールデン)

アイテム:スエード・ペニーローファー
シリーズ名:FLEX WELT(フレックスウェルト)
品番:6243F
木型:VAN LAST(バンラスト)※日本仕様
ウィズ:D
製法:オールアラウンド・グッドイヤーウェルテッド
アッパー:銀(吟)付きカーフスエード
ライニング:アンラインド仕様(ただし、クオーターにはソフトグローブレザーを、ヒールカップにはスエードをライニング)
ソール:シングルレザーソール(オープントラック仕様。独自開発によりオイルアップされたスペシャルアウトソール)
カラー:タンスエード、スナッフスエード(写真)の2色展開
価格:7万2450円

お問い合わせ:

ラコタ TEL.03-3545-3322
http://www.lakota.co.jp/