メンズシューズ

08.07.18 UPDATE

ヨットスポーツにホンキで使えるタウン顔デッキモカシン

 今夏以上にデッキシューズの人気が高まった時代もなかったのではないでしょうか? 実にありとあらゆるブランドが、この種の靴を展開。百花繚乱の趣です。とはいえ、それらのほとんどは"デッキシューズ・ライク"なタウンカジュアル靴。もちろん、それがいけないというのではありません。ただ、ヨットの濡れたデッキ上で、それらが快適&安全に履けるのかといえば、それがちょっと違うわけです。
 そこでヨット愛好家はもちろん、靴好き&お洒落好きの方々にも、このデュバリーを介し、本格的なデッキシューズとはいかなるものかを知っていただきたいのです。
 靴ファンにはあまり馴染みがありませんが、デュバリーはマリンフットウェアとカントリーブーツを展開するデュバリー社のオリジナルブランドです。アイルランド西部に本社を構える同社は1930年代にハンドモカシンの専業メーカーとして創業。やがて大西洋に面した土地柄とセーリングに対する関心を融合させ、マリンシューズの製造に携わるようになりました。ことに、あらゆる条件下のデッキ上において常に優れたグリップ力が発揮できる「ノンスリップアウトソール」の導入は、このブランドのエポックに。異なる使用環境でも同レベルの性能が発揮されるフォーミュラー1のタイヤをヒントに、同社が独自に開発した、このノンスリップ構造のラバーソールが多くのヨットセーラーたちに評価され、世界中にあまねく使用されることとなり、同社の発展に大いに寄与しました。
 また、アッパーには英ピタード社の「WR100 Mirapeレザー」を採用。ピタードといえば名門デンツなどもグローブ素材として採用しているソフトレザー専門の皮革供給会社。1826年創業の老舗であり、1960年代に同社が開発した「WR100(革本来の柔らかさを保ちつつ、水分や汗などに対する耐性を高めたなめし&加工法。WRは「Water Resistant」の略、すなわち「防水」のこと)」は画期的な皮革製法として、今日なお、多くのブランドに採用されています。そして「WR100 Mirapeレザー」は、その「WR100」のデュバリー仕様バージョンであり、防水性、低吸水性、撥水性、速乾性に優れているのみならず、乾いても硬化せず、ヒビ割れや型くずれも起こさず、常に靴を良好なコンディションに保つことのできる素材なのです。
また、デュバリー製品のフラッグシップともいうべきマリンブーツなどには高い防水性と通気性を併せもつ「ゴアテックス・メンブレン」(米ゴアテックス社製)や伸縮機能に優れた繊維素材「ライクラ」(米デュポン社製)などのハイテク素材も導入。同じくデュポン社の「コーデュラナイロン」や「ケブラー」が採用されたモデルも展開されています。
こうした伝統製法とハイテク技術を巧みに融合することで、同社のマリンフットウェアは厳しい条件下で行われるアスリート競技での使用に耐える機能性を発揮。ことに各種ブーツは「アメリカスカップ」などの国際的なヨットレースで活躍するトップセーラーたちも愛用しているほどなのです。
 そんな本格マリンフットウェア・ブランドが、気軽なヨットスポーツに使えて、かつ街履き靴としても楽しめるクラシック・タイプのデッキシューズとして展開しているのが、写真の「チャレンジ」です。一見して気になるのは、ヒールカップのアウトサイドに縫合された1ポイントのレザーチップでしょうか。右足はグリーンで、左足はレッドというのは船舶の運航規則に定められた航海灯の色で、すなわち右舷灯のグリーン、左舷灯のレッドに由来しているのです。まぁ、この飾りは別として、それ以外のディテールは実にオーソドックス。モカシン製法やヘビモカは靴中への海水の浸入を防ぐための仕様ですし、ヒールキッカー(ヒールカップ外壁に横一文字に施された合わせ縫いのこと)は濡れた靴を脱ぐ際、もう片方の足をここに引っかけて脱ぎやすくするためのディテール。トップを1周するレザーストリングは波に靴をもっていかれないためにトップホールを締める役割があるのです。しかも、アッパーには前述したピタード社の「WR100 Mirapeレザー」を、ソールには、これまた前述の「ノンスリップアウトソール」を採用しているほか、インテリアは素足にも当たりの優しいアンラインド仕様。
と、街履きスタイルを意識したモデルとはいえ、これが素材もディテールも本格仕様のデッキモカシンであることが、よくお分かりいただけたかと思います。もちろん、履き心地はとても柔らかく軽快ですし、見た目もソフトなので女性の足元にも違和感がありません。例えばメゾンブランドのデッキシューズも魅力的ではあるけれど、ときには、こんな"本気度"の高い靴で街履きに"チャレンジ"してみるのもお薦めです。

文:山田 純貴 写真:平野 多聞

インテリアは素足にも優しいアンラインド仕様(内張りのない仕様のこと)を採用。青く見えるのはクッション製に富むインソールボードで、茶色の部分はピタード社製レザーインソックライナーだ。

(写真左)相互に連結された溝をもつパターンが、衝撃点から各方向へと同時に水を散乱させ、ハイドロプレーニング現象(この場合は溝に水が入り込むことでグリップが利かなくなる状況を指す)の発生を防ぐのだ。(写真右)モカはモカ革がヴァンプに被るように縫合されるヘビモカ(別称ヘビーモカ)・タイプ。合わせモカや乗せモカ、すくいモカなどに比し防水性に優れており、本格デッキシューズの基本ディテールとされている。

ヒールカップにはもちろん、デッキシューズの基本ディテールであるキッカーを装備。その横に見える三角状のレザーチップは船舶の航海灯に由来する飾りで、右足がグリーン、左足がレッドとなっている。

DUBARRY(デュバリー)

アイテム:デッキモカシンシューズ
モデル名:CHALLENGE(チャレンジ)
品番:3606
製法:モカシン
アッパー:英ピタード社製「WR100 MIRAPELレザー」
ライニング:アンラインド仕様
※ピタード社製レザーインソックライナー採用
アウトソール:オリジナル・ノンスリップラバーソール
カラー:ホワイト、ブラウン、ネイビーの3色展開
サイズ:23.0〜29.5cm
価格:2万9400円

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スターポートジャパン TEL.03-5541-9181