メンズシューズ

08.08.15 UPDATE

コルテ初のウイングチップは"男っぽさ"と"エレガンス"の美しきランデブー

名木型の条件とは何でしょうか? ひと言では定義づけはできないのですが、コンフォートの面では「より多くの人の足に合いやすい」とか「長い時間歩いても疲れにくい」といった点があげられるでしょうし、見た目の印象では「美しい」とか「アッパーのデザインによく調和する」などが条件に入るかと思います。例えばエドワードグリーンの「202」、オールデンの「ミリタリー」や「バリー」といった有名な木型にはそれらの条件が兼ね備わっているわけですが、筆者はその仲間に、ぜひコルテの「001」を加えたいのです。
ピエール・コルテという人は、本当に天才的なシュークリエイターだと思います。単なるデザイナーではなく、自らの手でベーシックラスト(プレタポルテにおける基本となる木型のこと)を削り出すラストメーカーでもあるコルテ氏は、彫刻家だった伯母ゆずりの造形的才覚と、ジョン ロブやベルルッティなどで活躍した時代に培った経験則を駆使し、自らのプレタ・ラインのための最初の木型「001」を生み出したのです。
このシュール・ムジュール(ビスポーク)由来の木型は、トゥが程よくインサイドに振られた、いわゆる内振り&内ひねりのコンフォートフォルム。しかも大変細身に見えますが、実は意外にもボール部分(足指の付け根部分)の幅にゆとりがあるため、フィットする足をほとんど限定しないのです。
しかし、何よりも魅力的なのは「ベクテーグル(フランス語で『鷲のくちばし』の意味)」と呼ばれるトゥのシルエットではないでしょうか? 分類すれば、これはスクエアトゥの一種であるチゼルトゥ。この数年間、筆者は仕事柄もあって数多くのチゼルトゥを見てきましたが、いつもこの「001」には特別な美しさがあると感じています。いずれも優雅で上品な印象のチゼルトゥですが、「001」のシルエットはことに繊細優美で、それでいて、決していたずらに自己主張することなく万事控えめなのが好印象です。そして、これは日本人の感性に非常によくマッチする、そんな造形といえるでしょう。
ちなみに、このトゥに付された「ベクテーグル」が、実は公称ではないことを今回、知りました。聞けば、あるパリの靴好きな新聞記者がこう呼んだことに由来する、いわば俗称とのことなのですが、これがなかなか絶妙な命名だと思うのです。
さて、その「001」が採用された、この秋の新作をご紹介しましょう。
写真がそれで、実は意外にもコルテ初のウイングチップ。それもメダリオンやパーフォレーションが施されたフルブローグなのです! 風格はあるけれど、重厚で無骨にも見えがちなフルブローグですが、コルテの手にかかればこんなにもモダンで洗練されたものに。コルテ・ファンにはもちろんのこと、筆者のような根っからのウイングチップ好きとか、エレガントだけど男らしい靴を探していらっしゃるという人たちにも、これはお薦めの1足なのです。なお、写真はドレッシーな黒タイプですが、ベージュ・タイプもあり、いずれにも「アンノブリール(フランス語で「気高くする」の意味。コルテでは、購入時に買い手の要望を受けつつ、1足ごとに筆を用いたグラデ染色と光沢出しを施す作業をこう呼んでいる)」を施せば、より表情のあるマイ・コルテに仕上がるのです。

文:山田純貴 写真:平野 多聞

伸びやかだが程よく抑制された捨て寸、穏やかに丸みを帯びたチゼルトゥのスロープ、垂直に屹立するサイドウォール・・・・。これらの絶妙なバランスがベクテーグルの優美なシルエットを生み出している。

(写真左)各革の切り替えと、それに沿って施されたパーフォレーションの流れるようなラインが、繊細で優美なノーズのシルエットに絶妙に調和。たとえウイングチップであっても、あくまでコルテは美しい。
(写真右)ヒドゥンチャンネル(本底の革を甘皮状にめくり、それで出し縫い糸とチャネルを隠す仕上げ)とカラス仕上げ(本底とトップリフトを黒色で塗りつぶす仕上げ)を採用。コルテは下から見ても優美だ。

CORTHAY(コルテ)

アイテム:フルブローグド・ウイングチップ・オックスフォードシューズ
モデル番号:001VE
木型番号:001
製法:グッドイヤーウェルテッド
アッパー:ボックスカーフ
ソール:シングルレザーソール(ヒドゥンチャンネル仕様)
カラー:ブラック、ベージュの2色展開(購入時に「アンノブリール」により、希望カラーに仕上げが可能)
価格:189,000円

お問い合わせ:

コルテ 東京本店
TEL.03-3407-0611
http://www.pierre-corthay.com
http://www.figo.co.jp