メンズシューズ

08.08.22 UPDATE

かつてアイビーリーガーたちの足元を飾った
ペニーロファーのマスターピースが完全復刻!

日本人としてはピンと来ないのですが、ヨーロッパではコインをラッキーチャーム(幸福のための護符)とする習慣がありました。すでに古代のギリシア・ローマ時代、神々の姿や時の権力者たちが描かれたコインが出回ると、それら偉大な"力"をもつ存在にあやかろうと、人々は積極的にコインを身につけたのです。
そんな伝統が、後に新大陸にわたったのでしょうか。しかも、つい半世紀程前のアメリカで、エリートの若者たちによって自国のコインである1セント硬貨(通称ペニー)がラッキーチャームになったというのですから愉快です。
その若者たちとはハーバードなど、合衆国北東部の名門私立大学に通う学生らのこと。彼らが当時、好んで身につけていたファッションが、すなわちアイビー・ルックであり、これが'60年代の日本で大ブームになったわけですね。まぁ、名門私大の学生ですから、基本的に上品な着こなし。足元もワークブーツなどではもちろんなく、ローファーやヴァンプシューズ、サドルシューズ、チャッカブーツあたりが好まれたようです。
そして、彼らが自分の履いているローファーのサドルの内側にペニーを挟みだしたというのです。何がきっかけだったのかは知りませんし、また、彼らがペニーにどんな幸運を期待したのかもわかりません。もちろん、それが彼らには"お酒落"にも見えたのでしょう。私たち日本人には、ちょっと理解しにくいですね。10円玉をローファーに付けて履く、という様を想像してみてください(笑)。全然、お酒落じゃないし、これがラッキーチャームだと言われてもピンときません。実際、日本でアイビーがブレイクしたときもローファーにコインを入れ、みゆき通りを闊歩していた若者はいなかったに違いありません!(たぶん)。
でも、そんなアメリカのプレッピーたちの遊び心によって「ペニーローファー」という言葉が生まれました。コインを差し込まずとも、差し込んでチラ見せできるサドル&スリットがあれば、それはペニーローファーと呼ばれるようになったのです。そして、彼ら学生たちが'50年代〜'60年代にことに好んで履いたペニーローファー。それがフローシャイムの「ウィージュン」と並び立つコール ハーンだったのです!
そのアメリカの名門コール ハーン。実は今年が創業80周年にあたります。1928年、シカゴでトラフトン・コール氏とエディー・ハーン氏によって設立された、このブランドがローファーの生産を始めたのは1950年のこと。以来、プレッピー・スタイルの定番アイテムとして人気を博し、今日に至るまで時代ごとに木型やデザインなどを変えながら、ブランドの象徴であり続けてきました。もちろん、それは日本でも同様で、例えば1990年前後のアメトラ・ブームにあって、コール ハーンのローファーは憧れ靴の筆頭。これが買えず、他社製で我慢したという人は少なくないはずです。
さて、そんな方々にぜひお薦めしたいのが、写真のローファーです。
今年が創業80年目と先述しましたが、実はこれはそれを記念するモデル。既存の現行ローファーとは違い、米メイン州の工場にて伝統的なハンドソーンで製作された、ワンランク上の製品です。限定生産ではあるものの、メイド・インUSAが貴重となってしまった現在、純米国製の、それもすこぶる上質なハンドメイドスリッポンがリリースされたことは嬉しい限り。モカに施された手縫いなどを見ますと、大変高い技術がうかがえて、これがこの靴の価値をさらに高めていると実感するのです。
しかも木型もデザインも、またスエードと表革のコンビネーションという素材使いも往年のペニーローファーそのまま。同社のアーカイブにあったローファーをほぼ忠実に再現しており、唯一、アクセントとしてステッチを赤に変更したことで、よりモダンな印象にしているのだそうです。
ところで、サドルのスリットからコインがのぞいていますが、これはあらかじめ、この製品にセットされたもの。しかも、なんと創業した1928年に鋳造されたペニーを、このモデルのために集めたというこだわりようなのです。つまり、わざわざ自分でコインをはさまずとも、買ったそのままでプレッピー気分が味わえてしまうわけなのです!
このローファーが、昨今トレンドのアメリカンファッションに絶妙にマッチすることは言うまでもありません。かつてアイビーを体験した人、アイビーに憧れた人、あるいは最近になってアメトラに目覚めた人。ぜひ、自慢の着こなしに、このペニーローファーのマスターピースモデルを取り入れてみてください。

文:山田純貴 写真:平野 多聞

均整のとれたシルエットは真横から見ても破綻なし。スナッフスエードと呼ばれるブラウンのスエードに、モカ縫いなどに採用された赤い縫い糸が映え、この靴をより一層お酒落なものにしている。

(写真左)程よい捨て寸のノーズライン、左右にきつく絞り込まれたトップホール、小ぶりのヒールカップと、本当にこれが数十年前の木型なのかと驚く。しかも各パターンがその木型と見事に調和しているのだ。(写真右)レザーソールは出し縫い糸、およびそのステッチを施すためのチャンネル(溝)を隠さないオープントラック仕様ゆえ、ハンドモカシン製法による堅牢な出し縫いの味わいある表情が直接見てとれる。

スキャッグウェイ・タイプのスリットからのぞいているのは、コール ハーンの創業年に鋳造されたペニー。このローファーを製作するにあたり、これらを収集するのが、これまた大変だったそうな。

COLE HAAN(コール ハーン)

アイテム:ペニーローファー
モデル名:MOHEGAN PENNY(モヘガン ペニー) ※創業80周年記念限定生産モデル
品番:CO6891
製法:ハンドソーンモカシン
アッパー:カーフスエード×オイルドレザー
ライニング:レザー
ソール:シングルレザーソール(オープントラック仕様、生なり仕上げ)
カラー:ブラウン×ブラウン。他に同型・同価格でアッパーにカーフ採用のブラック×ブラウンもあり。
製造国:アメリカ
その他:1928年のペニー硬貨付き。パッド内蔵レザー製フットベッド入り
価格:65,100円

お問い合わせ:

コール ハーン ジャパン
TEL.0120-56-0979
http://www.colehaan.com/jp

※2008年9月5日〜10月31日まで、全国の「コール ハーン ストア」にて創立80周年記念「ペニー キャンペーン」を実施。期間中、商品を購入すると「ペニー ラッキーチャーム」が進呈される