メンズシューズ

08.08.29 UPDATE

新しいウエストンは控えめセクシー!
女性たちの好感度も高そうです

きたる9月29日にリリースされるジェイエムウエストン(1891年、仏リモージュで創業)のニュー・コレクションの紹介です。写真のダービーを含む3モデルで構成される、この「グラフィック コレクション」はミッシェル・ペリー氏のデザインによるものです。
ペリー氏は1949年のフランス生まれで、両親は靴店を営んでいたそうです。ベルギーの美術学校やフランスの芸術家養成校「エコール・デ・ボザール」で絵画などを学び、後にいくつかのシューブランドでデザイナーとして活躍。1987年に満を持し、レディスシューズ・ブランド「ミッシェル・ペリー」を立ち上げました。現在、パリのサントノレ通りにショップを営み、靴のみならずバッグやレザーアクセサリーなども展開。フェミニンでエレガント、そしてどこかキュートなペリー氏のデザインはランジェリーがヒントであるとか、英国のポップカルチャーに影響を受けているなどともいわれ、日本でもラグジュアリーなブランドとして女性たちの憧れの的になっています。
すでに高名なデザイナーとなっていたペリー氏が2001年、ジェイエムウエストンのコレクションを手掛けたと知ったときは驚き、そして戸惑いました。私たち日本人にとってウエストンといえば、フレンチながらブリティッシュトラッドの流れを組んだ、どちらかというとコンサバティブなシューブランドとの認識でした(現在でも、そうしたトラッドなモデルは定番として継続展開されています)。ですから、メンズとレディスの違いはあるものの、ウエストンと「ミッシェル・ペリー」とのイメージの隔たりがあまりに大きすぎて、"ペリー版ウエストン"をどう受け止めたらいいのかがわからなかったのです。 しかし今、振り返ってみると、ジェイエムウエストンの判断は見事なものだったと理解できます。それはペリー氏が豊かで柔軟な才能をもつ天才的デザイナーであると同時に、類い稀なるバランス感覚の持ち主であると知ったからです。すなわち、自らのスタイルを声高に主張することはせず、しかしそれをウエストンの伝統的イメージの中に巧みに溶け込ませつつ、"新しいウエストン"を創りあげることに成功させているのです。そしてこのことは、今回の「グラフィック コレクション」の中にも十二分にうかがうことができるわけです。写真の「449 ダービー」で検証してみましょう。
製法では、ウエストン伝統のグッドイヤーが堅持されています。ただ、その割にコバがさほど目立たないのは、エッジに丸みをつけた、いわゆる丸コバにしているからで、これはペリー版ウエストンの定番ディテールです。また、破綻のない美しい縫製やアッパーなどに採用されている革のグレードの高さも従来のウエストンと同様。本底の革に、自社傘下のタナリーが長期間を費やして製革したフルベジタブルタンニングレザーが使われているのも従来どおりです。
しかし、木型は非常に個性的です。品のあるシルエットを表すラウンドトゥを真横から見ると、そのトゥから一の甲(足指の付け根あたり)に至る甲が低く、しかも頂き部分が切削された丘のようにフラットです。ちょっとモカシンのようなフォルムなのですが、モカの切り替えはなく、トゥがポインテッドであるため、その印象は全く異なるものになっています。しかも、サイドウォールはラウンドウォール(丸壁)が比較的シャープに屹立しているため、光の射し込み方によって、フラットな天頂部分とウォールとの境界がくっきり際立ち、この靴全体を非常にスタイリッシュなものに見せているのです。ちなみにこの靴を前から見ますと内ひねりの形状になっており、本底側から見ると著しく内振りであることがわかります。フィッティングには定評のあるウエストンですから、たとえ細身に見せていても、こうしたコンフォートへの配慮には妥協がありません。
デザインがまた、控えめながらユニークです。ロングノーズを強調する小ぶりの外羽根が曲線的にカットされており、それに沿って施された羽根革両サイドの飾りステッチもまた、優美な流線を描いています。そして、このバタフライカットが靴全体にほどよく華やぎとエレガンスをもたらしているわけです。ちなみにコレクション名の「グラフィック」とは、こうした直線と曲線が織りなすコントラストを巧みに活かしたデザインの靴のシリーズであることを表現しているとのことです。
さて、この「449 ダービー」。デザインのベースは、やはりトラディショナルなスタイルにほかならず、この点ではジェイエムウエストンらしさを実感しますが、いっぽう、エレガンスでちょっぴりセクシーな印象はペリー氏の個性の賜物であって、このバランスが実に絶妙といえるのです。しかも、どこか爽やかさがあって、おそらく女性の好感度も非常に高いものと思われます。オーセンティックなウエストンももちろん大好きなのですが、いくら眺めても見飽きない、このたいそう美しい最新版ウエストンにも強く魅かれてしまいました。

文:山田 純貴 写真:平野 多聞

真横から見ると、トゥから一の甲(最も足幅のある部分の甲。ボールガース)に至るトゥボックスがフラットで、二の甲あたりから足首近くの三の甲に向かうラインが急峻であることがよくわかる。

(写真左)バタフライカットと称される、外羽根の優雅な流線が靴全体の繊細なシルエットに美しく調和。(写真右)アンティーク調に仕上げられた本底には堅牢だが、しなやかなオリジナルレザーを使用。

J.M. WESTON(ジェイエムウエストン)

アイテム:449 DERBY(449 ダービー)
品番:11-L5-372-449-10
コレクション名:GRAPHIC(グラフィック)
製法:グッドイヤーウェルテッド
アッパー:ブラック=BOX CALF(ボックスカーフ) タン、ダークブラウン=VOCALOU BOX CALF(ボカルーボックスカーフ)
ソール:シングルレザーソール(本底に自社傘下タナリー製フルタンニンレザー使用。ヒドゥンチンャネル仕様。オール丸コバ仕上げ)
ヒールリフト:ピッチドヒール
カラー:ブラック、タン(写真)、ダークブラウンの3色展開
価格:129,150円
発売日:2008年9月29日

お問い合わせ:

ジェイエムウエストン ジャパン
TEL.03-5413-1348
http://www.jmweston.com