メンズシューズ

08.11.21 UPDATE

ウェスタンブーツのアルティジャーノが手掛けた極上のドレスシューズ

RICCARDO FRECCIA BESTETTI(リカルド・ベステッティ)

マカロニウェスタンを生み出したくらいですから、イタリア人はウェスタン好きなのでしょう。リカルド・ベステッティ氏がマカロニウェスタンのファンであるか否かはわかりませんが、根っから靴好きの、それも大のウェスタンブーツ好きであることは確かです。今回ご紹介するのは、そのベステッティ氏主宰による伊ミラノのファクトリーブランドで、トレーディングポストが本格展開をスタートさせたニューカマーの、その名もリカルド・ベステッティです。
ベステッティ氏は子供時代から靴に興味を持ち、気に入った靴なら、たとえ自分のサイズではなくとも購入したという熱中ぶりだったそうです。しかも成長するにつれ、ウェスタンブーツへの関心も高まっていき、のちに兄と一緒にアメリカ・テキサス州を旅した際、そこでウェスタンブーツの伝説的職人と巡り合う幸運に恵まれました。そしてみごとなブーツづくりを目の当たりにし、靴職人になることを決意。そのブーツ職人のもとで靴づくりを学んだのです。
そして27歳で本格的な靴づくりをスタートさせたベステッティ氏は、ミラノの地でささやかな工房とショップを営みながらウエスタンブーツづくりに励み、デザインや製靴技術、カラーリングなどでさまざまな試行錯誤を繰り返しながら独自のスタイルを創り上げていきました。現在、トレーディングポストが展開している各モデルはドレッシーな短靴ですが、実はいずれにもベステッティ氏が長年にわたり培ったウェスタンブーツづくりのノウハウと、同氏らしいこだわりが込められているのです。
それでは、写真のストレートチップ「ミラノ」を検証してみましょう。
採用されている木型はトレーディングポストの別注とのこと。捨て寸はほどほどで、昨今トレンドの丸みを帯びたチゼルトゥ。フラットなサイドウォールが垂直に屹立した、エッジのきいたフォルムにもかかわらず極端にシャープに見えないのは、このトゥの柔らかいシルエットのせいかもしれません。また、全体に細身に見えますが、実はボールジョイント(足指の付け根)まわりが比較的ゆったりしているため、著しくインサイドに振られた形状と相まって、多くの人の足によくフィットしそうです。
デザインも個性的です。大ぶりのトゥキャップはいかにもイタリア的で、それに呼応するようにアウトサイドヒールカップも前方に張り出した大ぶりなものに。また、パーフォレーションが個性的で、各小穴が円形ではなく菱形です。誠に印象的なデザインなのですが、これがこの靴を一層クラシカルで小粋なものに見せているわけです。ちなみに、アッパーにはベステッティ氏自らが探し出し、厳選した上質なフレンチカーフを採用。美しいアンティーク仕上げもまた、このブランドが得意とするところです。
次にソールを見てみますと、こちらもアンティーク調に仕上げられていて、しかも半カラスといいますか、バイカラーで染色されています。踏まず部分はいわゆるベヴェルドウエストで、インサイドのアーチがみごとなまでに絞り込まれています。しかも、そのウエストは丸く成型され、そこに古典的なウッドネイル(木釘)が多数打ち込まれているのです。さらに小ぶりのヒールリフトは真横から見ますと、なんと、これがピッチドヒール。靴の前半分は比較的コバが張り出していてセクシーなシルエットなのに、ヒールリフトは控えめというか、非常に上品な印象で、その対比もまた、ユニークです。
ちなみに、製法ではハンドソーンウェルテッドを採用。ハンドメイドによるウェスタンブーツづくりの技術が、ここに活かされているのです。しかも前述した、ベヴェルドウエストやウッドネイルの打ち込み、ピッチドヒールの採用などもまた、ウェスタンブーツからの流れを汲んだディテールといえるでしょう。なお、アウトサイドヒールカップが大ぶりなのは、踵(かかと)で足を確実にホールドさせるという、ベステッティ氏のフィッティングに対する哲学を反映したものなのだそうです。
この靴はレディメイドではありますが、どこかビスポーク的な佇まいがあって、それがまた、魅力のひとつでもあります。つまり個性的で色気が感じられるいっぽう、決して品は失しておらず、履けば足元を控えめセクシーに見せてくれる、そんな大人のための1足ということなのです。しかも、随所にベステッティ氏のこだわりを実感できる逸品。ブランドとしてのレア度が十分高く、それもちょっと嬉しかったりするわけです。まぁ、確かに高価ではありますが、インポートのハンドソーンウェルテッドシューズであることを考えれば、実はこれはお値打ちなのではないでしょうか。

文:山田 純貴 写真:平野 多聞

やや丸みを帯びたチゼルトゥを採用。そのトゥから一の甲に至るトゥボックスが低くフラットで、そこから履き口に向かって急峻となる、イタリアらしいフォルムだ。真横から見ると、ピッチドヒールなのもよくわかる。

(写真左)こうして見るとインサイド&アウトサイドとも、アウトサイドヒールカップが大きく前方に張り出しているのがわかる。(写真右)ウエストの左右に2トラックずつ、ウッドネイルが打ち込まれたアウトソール。

RICCARDO FRECCIA BESTETTI(リカルド・ベステッティ)

アイテム:ストレートチップ・オックフォードシューズ
モデル名:MILANO(ミラノ)
製法:ハンドソーンウェルテッド
木型:トレーディングポスト別注
アッパー:フレンチカーフ
ソール:シングルレザーソール(ヒドゥンチャネル仕立て、アンティーク調バイカラー仕上げ、ピッチドヒール)
カラー:ブラック、アンティークブラウンの2色展開
価格:23万1000円

お問い合わせ:

トレーディングポスト青山本店 TEL.03-5474-8725
トレーディングポスト大阪店 TEL.06-6251-1244
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