メンズシューズ

09.09.11 UPDATE

イタリアシューズの巨人が創造した艶気特濃の極上スリッポン

MAX VERRE(マックス・ヴェッレ)

ファッショントレンドの背景には、ときとして知られざるキーマンの存在があるものです。'90年代後半以降、ドレス系ではエレガント化が進み、カジュアルではプレミアータに象徴されるトゥスプリングが高く跳ね上がった細身靴が人気を呼びましたが、近年、この両トレンドを牽引し続けてきた大物デザイナーの存在が明らかになりました。それが、ここにご紹介のマックス・ヴェッレ氏なのです。
イタリア・リグリア海沿いの小村レリチに生まれたヴェッレ氏は造船工学からキャリアをスタートさせ、後にレザーアイテムのデザイナーに転向。1993年にレザーウェア専門のリサーチ&デザイン会社を設立し、その2年後、プレミアータの立ち上げに参画します。
プレミアータは、1885年創業のトスカーナの名門シューメーカー、エンドレス社(シルヴァノ・ラッタンツィ氏もここの出身)の当主グラッツィアーノ・マッツァ氏が、前身ブランドであるG.M.エンドレスのクラシック路線から、よりモード寄りへとシフトさせるべくヴェッレ氏を起用し立ち上げたブランドでした。ヴェッレ氏がこのブランドで創案した、トゥスプリングが高く、捨て寸が長く、トウボックスが低い細身の個性的なフォルムが後に一世を風靡したのは前述したとおりで、これはあまたの模倣を誘い、プレミアータは一躍、カジュアルシューズのトレンドセッターとなったのです。
さらにボアル・ブランシュやイヴ・サンローランなど多くのシューブランドやメゾンブランドの靴を手掛け、2006年にはトム・フォードの立ち上げに際し、デザインディレクターとして迎え入れられてもいます。そのいっぽう、自身の名を冠したブランドを2001年にスタート。これにより、それまでの同氏の軌跡がようやく明らかにされるようになったわけです。
まさに「イタリアのシューズデザインにこの人あり」の観がありますが、そんなヴェッレ氏のデザインの特徴。その第一は、なんといっても"男の色気"を濃厚に感じさせる点にあるでしょう。新作のタッセルスリッポンを見れば、それはすぐご理解いただけるものと思います。元来がクラシックな定番スタイルであるタッセルスリッポンをこれだけセクシーなものにして見せる表現力たるや、並のデザイナーの及ぶところではありません。しかも甲が短く、履き口が著しく長いデザインは、わずかでも誤れば無粋な印象に陥るものですが、それを逆に粋に、かつ美しく見せてしまうのですから見事です。
また、丸みのあるトゥのシルエットも非常に独特なもので、従来からのイタリア靴のイメージとはちょっと異なる印象です。イタリアでもフランスでもイギリスでもアメリカでもない。そんな無国籍な雰囲気は、若い頃から世界各国を旅してきたヴェッレ氏にとり、ごく当然のデザインであるのかもしれません。さらに、マッケイ製法ながら限界まで絞り込まれたウエストにも、同氏の美学を感じます。しかも、そのコバをわざわざ面取りし、より細く見せるという徹底ぶりです。
足元にエレガントな色気をもたらしてくれること請け合いの極上の1足。ちなみに休日の装いにマッチするのは当然ですが、ドレスダウンが進むビジネススタイルの足元にもコーディネートできますから、その意味でしっかり旬なアイテムであるともいえるでしょう。

文:山田 純貴 写真:猪又 直之

ナーリング(ギザ文様)の刻印が施されたバイカラーのレザーソール。細く絞られたウエストは、そのコーナーを面取りすることで、さらに細いものに見せている。ヒールの計21本のネイル打ちにも圧巻だ。

MAX VERRE(マックス・ヴェッレ)

アイテム:タッセルスリッポンシューズ
製法:マッケイ
アッパー:カーフ
ライニング:総革張り(ロングインソック使用)
ソール:シングルレザーソール(ヒドゥンチャネル仕立て、ツートン仕上げ)
カラー:アンティークダークブラウンのみ
製造国:イタリア
備考:モカはハンドソーンによるすくいモカ・タイプ
価格:11万5500円

お問い合わせ:

ユナイテッドアローズ 原宿本店 メンズ館
TEL.03-3479-8180
http://www.united-arrows.jp/

※この情報は、2009年9月11日の情報です。