メンズシューズ

09.12.25 UPDATE

ジャケパンにはもちろん、スーツスタイルを
ほどよくカジュアルダウンしてくれる1足です

SANTONI(サントーニ)

私事で恐縮ですが、筆者がサントーニ(1977年、靴職人で現会長のアンドレア・サントーニ氏により、伊マルケ州にて創業)というブランドの存在を知ったのは'90年半ば頃のクラシコ・イタリアブームのさなかでした。このブランドのみならずジンターラやステファノ・ビ、エンツォ・ボナフェ、ボノーラ、ストール・マンテラッシといった、それまで日本であまり耳にすることのなかったファクトリー系のイタリアンシューブランドが(クラシコ・イタリア協会に加盟しているか否かは別として)"クラシコの靴ブランド"として注目されたのです。それからしばらく経ち、レザースニーカーブームになると、その発火地点がサントーニであることを知り、それまでのクラシコのイメージとの隔たりに戸惑ったりもしました。
さらに10年ほど前からドレスシューズがどんどんエレガント化していき、ロングノーズのチゼルトゥに象徴される細身靴が一大トレンドとなるにいたり、サントーニは定番木型「ジョージ」などに代表される、少々エキセントリックにも見えるほど捨て寸の長いシャープなフォルムを打ち出し、それらにハンドペインティングによるグラマラスなアンティーク仕上げを組み合わせたセクシーなモデルを次々発表。これらの靴により、今日のサントーニのブランドイメージが形成されたのです。
このように振り返ってみますと、ただ時流に迎合して器用に生き延びてきたかに見えますが、決してそうではありません。たしかにさまざまなブランドの製品を多数手掛がけてきたメーカーだけにトレンドを熟知してはいるのですが、オリジナル製品に関してはどのカテゴリーにあっても、常に他社製と一定の距離を置きつつ独自のスタイルを創造してきたのですから、称賛こそすれ非難するには当たりません。むしろ"器用さ"をいうのなら、グッドイヤーやマッケイ(ブレーク)のみならずノルベジェーゼやボローニャ、モカシンといった製法もこなし、そればかりかハンドソーンウェルテッドも駆使でき、そのいっぽうでスニーカー製造のための自社工場をもつという、その守備範囲の圧倒的な広さにこそ注目すべきだと思うのです。
そんなイタリア靴随一の実力派ブランドの最新作が、写真のチャッカブーツです。ビジネススタイルのカジュアル化からもっか人気のチャッカを打ち出した点に、トレンドに敏感なこのブランドらしさを感じることもできますが、ロングノーズのチゼルトゥであるなど、シャープなフォルムなどが醸し出す佇まいは、やはりサントーニ。とはいいましても、この新木型「ジョイス」は、トウが控えめに丸みを帯びていており、サイドウォールは屹立しつつも丸壁なので、シャープながらもエキセントリックな印象がなく、この点ではイマドキ風といえましょう。
アッパーの素材にも注目です。きめが細かく風合いの美しい、この革はサントーニ定番の「オールドイングランド」と呼ばれるカーフで、1頭から8〜10パーツしか取ることができないという厳選された高級レザー。これに十八番のハンドペインティングを施し、表情に富んだ黒を表現しているのです。しかも、これがライニングの赤と響きあいつつ、小粋なエレガンスを感じさせてくれます。
英国調やアメリカンスタイルのトラッドなチャカブーツも魅力的ではありますが、サントーニのこの新作のような洗練されたスマートなチャカも、昨今のトレンドにあっては逆にとても新鮮に見えます。ジャケット&パンツなどと好相性であるのは当然ですが、スーツと合わせれば着こなしをさりげなくカジュアルダウンもできる。そんな重宝な1足にもできるでしょう。

文:山田 純貴 写真:猪又 直之

SANTONI(サントーニ)

アイテム:チャッカブーツ
ライン名:ファット・ア・マーノ
品番:94290
木型名:JOYCE(ジョイス)
製法:DOPPIO BLAKE(ドッピオブレーク) ※2重マッケイ
アッパー:OLD ENGLAND CALF(オールドイングランドカーフ)
ソール:シングルレザーソール(ヒドゥンチャネル仕立て、ロールウエスト仕様、半カラス仕上げ) ※底前はブランドカラーのオレンジ、ウエスト部分はパープル
カラー:ブラウンのみ
製造国:イタリア
価格:9万7650円

お問い合わせ:

サントーニ東京
TEL.03-3574-0923
Info@okunijapan.co.jp

※この情報は、2009年12月25日の情報です。