メンズシューズ

10.09.03 UPDATE

このクォリティにして、九分仕立ての本格靴が
アンダー3万円とは、ただ驚くばかりです!

JALAN SRIWIJAYA(ジャラン スリウァヤ)

私事で恐縮ですが、2004年の夏、初めてジャラン スリウァヤの靴を目の当たりにし、品質と値段の"ギャップ"に驚いたことを思い出します。本格グッドイヤーシューズ(実際には九分仕立て。詳細後述)で、フレンチカーフを使用しているにもかかわらずアンダー3万円という破格ぶりが衝撃的なうえ、安価な革靴にありがちな吊り込みの甘さがなく、コバや本底の出し縫いもピッチが整然と乱れがないなど、美しく、かつ真面目に作られた靴だと感じたからです。
なぜこのような値段が可能かといえば、それは人件費の安いインドネシア製だから。ジャラン スリウァヤは同国バンドンで軍用靴を作り続けてきたシューメーカーのハウスブランドなのです。その経営者の息子ミスター・ルッディが英ノーサンプトンで製靴法を学び、帰国の後にスタート。日本には2002年に初上陸を果たしていたとのことです。得意とするのは、もちろん英国仕込みのグッドイヤー製法で、しかも日本で展開されているモデルは、なんと九分仕立てなのです! 底付けが「すくい縫い」と「出し縫い」の2段階となり、それぞれを機械で行うのが一般的なグッドイヤー製法ですが、九分仕立てでは「すくい縫い」のみが手縫いで、要はビスポークなどに採用されるハンドソーンウェルテッド製法と、グッドイヤー製法の混合製法なのです。機械のすくい縫いではリブを強力なボンドで中底に張り付ける分、反(かえ)りが多少なり犠牲となりますが、ハンドのすくい縫いではその必要がないため、よりしなやかな履き心地が得られます。とはいえ、機械縫いに比し、はるかに手間と時間を要するわけで、その分、コストが乗ることに。にもかかわらず、ジャラン スリウァヤはアンダー3万円(短靴の場合)なのですから、これはもう、本当にお値打ちといえるのです。
これは、写真のモデルも例外ではありません。しかも、新木型「11120」はブリティッシュスタイルながら、やや捨て寸を長くし、トゥボックスや甲を低くすることで、モダンでシャープなシルエットを可能にしています。また、コンフォタブルな内振りの形状に加え、ヒールカップを小ぶりにするなどし、日本人の足に良好にフィットするものにもなっています。そして、もうひとつ注目したいのが手仕事によるアンティーク仕上げ。色乗り良好なカーフを使い、そこに刷毛目を残しつつ、繊細で味ある濃淡を巧みに表現しており、製靴技術のみならず、ジャラン スリウァヤがこうした仕上げにおいても高い技術を我が物にしたことが見てとれます。
改めて言うまでもなく、この靴はグッドイヤーのエントリーシューズとしてイチオシなのですが、たとえばヨーロッパの一流品に親しんでいる靴通にとっても満足感できる実用靴となるはず。ですから、偏見など捨てて、ぜひ一度手に取って、足入れなどし、その"実力"のほどを確かめて欲しいのです。

文:山田 純貴 写真:猪又 直之

JALAN SRIWIJAYA(ジャラン スリウァヤ)

アイテム:クォーターブローグキャップトゥオックスフォードシューズ
モデル:98409、木型/11120
製法:九分仕立て
素材:アッパー/仏アノネイ社製「ベガノクラストカーフ」(ハンドフィニッシュ)、ソール/シングルレザーソール(ベルギー・アシュア社製レザー使用。ハーフヒドゥンチャネル仕立て。半カラス仕上げ)
カラー:マロン(写真)、ブラック(デュプイ社製カーフ)の2色展開
価格:2万9400円

お問い合わせ:

ジー・エム・ティー
TEL.03-5453-0033
http://www.gmt-tokyo.com

※この情報は、2010年9月3日(金)の情報です。