メンズシューズ

10.11.17 UPDATE

染料のみを使い、繊細な表情で手染めされた
この仕上げには唯一無比の価値があるのです!

YUHAKU(ユハク)

デザイナーで職人の仲垣友博氏は1976年、福井県の、両祖父が職人という家庭に生を受けました。絵画の勉強のため上京し、浅草にある某靴企画会社で企画・販売に従事しながらフィッティングやシューデザインを学び、プライベートではイタリアの靴職人のもとに通って製靴法を会得。また、レザークラフトや手染めの研究にも没頭し、生来の芸術肌と、両祖父から受け継いだ職人気質を開花させていきました。そして2006年、満を持し、ビスポークの靴、鞄、革小物、ベルトを製作する工房「アメノスパッツィオ」を開設。3年後に現在のユハクに改組し、ビスポークで鍛えた感性と技術を活かすべく、レディメイドのレザーブランド、ユハクを立ち上げたという次第です。
では、この靴の何が"すごい"のかと申しますと、アッパーのアンティーク仕上げなのです。前述したように、仲垣氏は長らく手染めの研究に努めており、そのノウハウがこれに活かされているのです。とはいえ、こうした複数の色を手仕事で塗り重ねる色付け法は、とりわけイタリアの高級ドレスシューズに多々見ることができます。にもかかわらず、ユハクの製品が画期的なのは、この仕上げを100%染料で行っているからです。染料の特性を知る人なら、これがいかに"すごい"ことかおわかりでしょう。同系色をトーンを変えて施すアンティーク仕上げなら染料のみでも可能。が、水彩絵の具と同様、透明性の高い染料では異なる系統の色を複数使って塗り重ねると、色が滲み合ってトーンが沈み、結果、思わぬ黒ずんだ色合いになってしまいます。ですから、イタリア靴の場合、こうした仕上げは油彩絵の具のようなクリームで行っています。
ところが、仲垣氏は1足あたり4色〜8色を駆使し、独自の色彩感覚と彩色技法で、仕上がりの色を先読みしつつ、トーンを濁らすことなくラグジュアリーなアンティークに仕上げることができるのです。よく見れば、それはイタリア製品とは異なる透明感に富み、繊細な表情さえ感じられます。しかも染料は革に芯通しされるので、退色しにくく、ヒビ割れを起こしませんし、クリームでの上塗りのようにどきどきはショップに持ち込み、化粧直しをしてもらうという必要もないのです! 
これまで多くの靴を見る機会にめぐまれた筆者ですが、このような仕上げがなされた靴には初めて出会いました。聞けば、去る7月のヨーロッパの展示会でも海外のバイヤーから、この画期的な仕上げに高い評価が与えられたとのこと。ちなみにこの靴のフォルム、仲垣氏によれば、これはアメリカのスポーツ整形学に基づき、それを日本人の足形に合うようアレンジしたものだそうで、手染めと並び、ラスティングにも同氏の強いこだわりがあるのだと理解しました。
もっか、名だたるセレクトショップのバイヤーたちも注目し始めているユハクの靴。ちょっと値段は張るように思えましょうが、それだけの価値は十分あると筆者は断言したいと思います。なお、この靴はレディメイドながら受注生産品。ご購入の際は採寸の後、納品まで2〜3カ月を待つ必要があります。

文:山田 純貴 写真:猪又 直之

YUHAKU(ユハク)

アイテム:ホールカットシューズ
製法:グッドイヤーウェルテッド
素材:アッパー/イタリアンタンニンドベビーカーフ、ライナー/仏デュプイ社製キップ、ソール/シングルレザーソール(ベヴェルドウエスト調仕上げ。ナーリング入り)
ヒールリフト:ピッチトヒール
カラー:個別にカラーオーダー受け付け(写真はサンプルカラー)
製作システム:受注生産(採寸、カラー選択の後に製作)
製作期間:2カ月〜3カ月
価格:8万2950円

お問い合わせ:

ユハク TEL.044-272-9009
http://www.amenospazio.com
http://www.yuhaku.jp(2010年11月12日現在製作中)

※この情報は、2010年11月17日(水)の情報です。