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BROGA VIDAR チャッカブーツ A-3

トラッドに軸足を置くも、"チーフを飾る"という
斬新な発想を提案する今春注目のニューカマー

今春デビューの靴ブランドを紹介します。ケルト神話に登場するヴィダル神の靴を指す「ブロガ ヴィダル」がブランド名の、このニューカマーは、実はトリッカーズやスイムズなどのインポーター、ジャック・オブ・オール・トレーズのオリジナルです。1950年以前の木型をベースに、そこに現代的履き心地を加味。ヨーロッパのエレガンスとアメリカのワークテイストを結合させるなどし、新しい世界観を表現するブランドです。

注目すべきは、2人の日本人デザイナーが起用されている点です。1979年、群馬県桐生市生まれの菊谷眞洋氏はパリの「スタジオベルソー」を卒業後、ベルリンとパリに拠点を置くデザインチーム「ブレス」に勤務。2006年に自らのブランド「K=LABEL」を興し、現在はパリと東京で活躍中です。また、木村大太氏は1968年、静岡生まれ。ロンドンの「コードウェイナーズカレッジ」を経て、靴デザイナー、ジョン・ムーア氏のもとで修業し、独立。「ダイタ キムラ」を展開しつつ、ポルトガルの靴ブランド「スウェア」のデザインも手がけ、近年、その名が日本でも知られるようになった人物です。
また「ブロガ ヴィダル」がユニークなのは、企画から製造までの過程をグローバルなシステムにしている点です。すなわち菊谷氏が東京で商品を企画し、ロンドンの木村氏が木型製作を含むデザインを手がけ、かつ生産管理も担当。革は全てイタリア製を使い、製靴はポルトガルの実力派メーカーが担うという具合。企画も革も製造も"日本"にこだわるブランドも頼もしいのですが、いっぽう、このブランドのようにボーダレスであることを積極的に肯定する取り組みから、先進的な商品が生み出されるのではとも期待するのです。そして、そんな予感をもたせてくれるのが写真のチャッカブーツです。

カーフ×スエードのマッチングカラーのコンビネーションは、チャッカというトラディショナルなスタイルをよりカジュアルに変えつつ、その佇まいを上品で小粋なものに。しかも、これら"黒"に対し絶妙なコントラストを見せる真っ赤なライニングがまた絶妙なのです。また、やや厚底のラバーソールはアメリカンワーク的ですし、ワイドラウンドで、やや前方に張り出したボリューミーなトゥなどは、筆者に'90年代半ばに風靡したシルバノ・マッツァあたりを思い出させてくれました。
ところで、トップラインのチーフ。気になりますね? 実は、この靴。なんとトップにベルトループがあるのです! で、これらに別売りのチーフを通せば、それが足元のお洒落なアクセントになるというわけです。まぁ、これをするかしないかは履き手の自由ですけれど、"靴を自分で飾る"という提案それ自体が斬新で大胆。トラッドを重んじつつも、既存概念にとらわれない、この自由な発想に筆者は拍手を送りたくなりました。

BROGA VIDAR(ブロガ ヴィダル) チャッカブーツ A-3 3万3600円
製法/ブラックラピド(オールアラウンドアウトステッチ仕様) 素材/アッパー イタリアンカーフ×イタリアンスエード、ライナー オールレザーラインニング、ソール ラバー(オープントラック仕様) カラー/ブラック×ブラック(写真) 他にオールスエードのバーガンディ、同ネイビー、オールカーフのブラック、同ブラウンもあり その他/シルクチーフ(別売)3,990円 製造国/ポルトガル
問:ジャック・オブ・オール・トレーズ TEL.03-3401-5001 http://www.jackofalltrades.jp
※この情報は、2011年2月24日の情報です。

 

文:山田 純貴 写真:猪又 直之