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G.RODSON(ジー・ロッドソン) ハリウッドシューブランド、G.ロッドソンが20年の時を経て、ついに待望の復活です!

靴好きなら、ジェラール セネと聞いて超ロングノーズの少々エキセントリックな洒落靴を思い浮かべることでしょう。しかし、その前身であるG.ロッドソンを知るとなると、それは靴道楽にそれなりにキャリアのある通なのかもしれません。
G.ロッドソンはデザイナーのジェラール・セネ氏が1982年から10年間、パリのオペラ座近くで営んだ高級メンズファッションショップ、ならびに同店のオリジナルブランドです。1960〜'80年代のハリウッドスターたちのファッションをパリ的視点で表現したクロージングや靴を展開し、「ハリウッドテーラー」「ハリウッドシューメーカー」などと称され、多くの映画スターやミュージシャンらから支持されました。また、同氏にとり特に思い入れの強いアイテムの靴では「ピエール・トゥ・ナン」と呼ばれるソラマメ形の木型を使い、粋でノスタルジックなコレクションを展開。日本でもビームスやキャンプスなどで取り扱われ、その独特の世界観で多くの洒落者らを魅了したのです。
しかし1992年、製靴を担っていた英ノーザンプトンのテクニック社が工場を閉鎖。その技術力に信頼を寄せていたグッドイヤーのシューメーカーを失ったことから、セネ氏はG.ロッドソンの終了を決意。それに代え、自らの名を冠するジェラール セネを立ち上げたわけなのです。
ところで、G.ロッドソンは「過去のもの。復活はあり得ない」とセネ氏はかたくなであったようですが、いっぽう、日本では復活を熱望するファンが少なくありませんでした。そこでインポーターのジー・エム・ティー社がセネ氏からオリジナルの木型を借り出し、それをインドネシアに持ち込んでジャラン スリウァヤにサンプル制作を依頼。その出来栄えに納得したセネ氏が、ついにブランド再興を決断したという次第です。

さて、その再デビューでは前述の「ヒッチマン」と共に、G.ロッドソンの代表作「グラント」も20年ぶりの登場となりました。モデル名からおわかりのとおり、このサイドエラスティックヴァンプはハリウッドで活躍した英国出身の名優ケイリー・グラント(1904〜1986年)の愛用靴に由来。往年の木型「57」は「ピエール・トゥ・ナン」の呼称どおり、ボリューミー、かつグラマラスなシルエットがすこぶる個性的で、ヴァンプながら重厚さがあり、その佇まいには風格さえ感じられます。しかもトゥが内側に著しく振られており、これが人の足形に適った、いわゆるコンフォート形状であることがわかります。ちなみに、トゥが控えめポインテッドであるのも特徴で、'80年代当時、こうしたポインテッドトゥのスリッポンは非常に珍しかったということです。
長らくG.ロッドソンの復活を願っていたファンにすれば、この「グラント」の再登場は誠に喜ばしいことでしょうし、また、往年のファンではなくとも、パンツが細みになってきた昨今、そうした着こなし合わせる靴としてお薦めです。というのも、この木型のボリューム感は細みシルエットに絶妙にマッチするからです。また、ビジネススタイルのカジュアル化が進む現在、きっちり見えすぎず、ちょっぴりアウトロー的な色気もありつつ、しかし品格を失していない「グラント」はビジカシの足元に格好の1足になるはず。スリッポンながら、アメリカンでもイタリアンでもない独特のテイストも新鮮ですから、個性的なスリッポンをお探しの方も要チェックでしょう。

G.RODSON(ジー・ロッドソン) グラント 3万9900円
製法/グッドイヤーウェルテッド、素材/アッパー 仏アノネイ社製カーフ「クラシックボックス」、ライナー フルレザーライニング、ソール シングルレザーソール(オープントラック仕立て。アンティークバーガンディ仕上げ)、製造元/ジャラン スリウァヤ

問:ジー・エム・ティー TEL.03-5453-0033 http://www.gmt-tokyo.com
  バーニッシュ TEL.03-3468-0152 http://www.burnish354.com/
※この情報は、2011年7月5日の情報です。

 


写真右手:「グラント」と同様、復活を果たしたスリッポン2型。いずれも木型「57」採用。写真の色のみ。各3万9900円。手前/ジェームス・ディーン主演の名画「エデンの東」(1955年)の舞台となった米カリフォルニアの港町の名が由来の「モントレー」。奥/G.ロッドソンの顧客でもあった名優ジャン・レノのためにセネ氏がデザインしたアシンメトリカルデザインのヴァンプ「レノ」。

文:山田 純貴 写真:猪又 直之