CLOSE UP SHOES

EDWARD GREEN(エドワード グリーン) - バーニーズ ニューヨーク別注エドワード グリーンのローファーがビジカジの足元に品のよい艶気をもたらします

ビジネススタイルの多様化を受け、「ドレッシーでありながら軽快さを感じさせるコンフォタブルでラグジュアリーな1足を」との意図から、伊勢丹新宿店がシルバノ ラタンツィ(1971年創業)に別注したのが今回ご紹介の、このビットローファーです。これの“元ネタ”は30年ほど前、シルバノ・ラタンツィ氏がフィレンツェにある某靴店(マウロ・ボルポーニか?)と共同で開発したヒット作で、それを「過去の名作をシルバノらしいアンティーク調の素材でアレンジ」しつつ復刻させたのが本品なのです。では、さっそく各ディテールや素材を検証してみましょう。

トゥに控えめなスクエアシルエットを見せる「36」番は、オリジナルにも採用されたモカシン専用の木型。多くの人の足にフィットする「万能ラスト」と評される、ラタンツィを代表する木型のひとつです。伊勢丹新宿店は今回の別注に際し、コンフォタブルな履き心地と脱ぎ履きの容易さも重視したということですので、その意味でもこの「36」番の採用は適切なものといえそうです。
アッパーには、ラタンツィがドレスモデルにも使用しているカーフを採用。繊維のキメが細かく整っており、ハリがあり、しかし手に触れれば、そのしなやかさに驚かされるトップグレードの素材です。また、耐摩耗性に優れ、弾性に富むことから足当たりがソフトなカプラ(ゴートスキン、すなわち山羊革のこと)のライニングや、このモデルの印象的なシンボルである大ぶりのビットも、それぞれ往年のオリジナルどおりです。

しかし筆者が最も注目したのは、モカや甲ベルトに施された大変みごとな手縫いです。ピッチが正確で、番手の選択が適切であるということにとどまらず、モカに沿ってヴァンプに現れたヒダからもわかるとおり、ひと針ごとに厳しく堅牢に糸絞めがなされており、それがこのスリッポンの佇まいにさらなるクラス感をもたらしています。こうしたハンドソーンモカの靴は近年、目にする機会が少なくなっていますが、それだけに本品の存在は希少ですし、しかも、その最上の例を目の当たりにできる極上の1足でもあるのです。ラタンツィの製靴技術やデザインにおける実力の高さは靴通の間でも折り紙付きですが、本品を見るにつけ、ラタンツィはドレス靴ばかりか、こうしたモカシンシューズにおいても当代随一の実力者であるのと認識を新たにした次第です。

SILVANO LATTANZI(シルバノ ラタンツィ) MG 19万9500円
製法/モカシン×マッケイ、モカ/ハンドソーン・ヘビーモカタイプ、素材/アッパー カーフ、 ライニング カプラ(ゴートスキン)、ソール シングルレザーソール(ヒドゥンチャネル仕立て。オール丸コバ)、ビット ニッケル(オリジナル。ミラー仕上げ)、製造国/イタリア

問:伊勢丹新宿店 TEL.03-3352-1111 http://www.isetan.co.jp
※この情報は、2011年7月22日の情報です。

 

文:山田 純貴 写真:猪又 直之