CLOSE UP SHOES

ペグマン

アメリカのドレスシューズと聞くと、多くの人は丸みのある木型の、無骨で堅牢なグッドイヤー靴を思い浮かべるのではないでしょうか? そのイメージに誤りはありませんが、半世紀もさかのぼると、それとはちょっと違うアメリカンシューズの世界が存在していました。当時のビスポークやミリタリーなどの靴を見ますと、意外にも細身で華奢なタイプがあることに驚かされます。今回は、そうした往年のアメリカンシューズのフォルムやデザインを現在によみがえらせ、かつそこに“イマの気分”を加味し、もっか話題の新ブランド、ペグマンを紹介します。
ペグマンはアメリカ発ではなく、ドメスティックブランドです。米オールデンのインポーターであるラコタ(本社東京)の創業者で、靴のコレクターでもある血脇孝昌社長が旧き佳き時代のアメリカンシューズへの愛情と、長年にわたり培った豊富な知識をもって木型から開発した、小粋なユーティリティシューズを展開するニューカマーなのです。 最大の特徴は、ハンドソーンウェルテッド製法を採用している点です。すくい縫いと出し縫いをともに手縫いで行うこの古典的製法には、ウエストを絞り上げて土踏まずのフィット感を高めることができたり、中底のコルクや接着剤の使用量を少なくしてソールの硬化を抑えることで、履き卸しから反(かえ)りがよい、などの利点があります。そのいっぽうで熟練した手縫いの技術、および機械縫いをしのぐ長大な時間を要するため、ビスポークや一部の高級靴に散見するのみという現実もあります。
アメリカのヴィンテージシューズのフォルムを再現するにはグッドイヤーでは限界があり、ハンドソーンウェルテッドが理想的です。必然的に高額品にならざるを得ないのですが、あるとき、この製法に熟達した中国の工場を紹介された血脇社長は、リーズナブルな提供が可能と判断。以後、2年以上に及ぶ試行錯誤の期間を経て、今秋、ペグマンの登場と相成りました。

さて、写真はデビュー作3型のうち、最もカジュアルな印象のUチップです。1950年代のコンフォートドレスシューズの木型をベースに、ミリタリー系のサービスシューズも意識し開発したという木型「L101」は、トウに厚みがあるので指先に余裕が感じられ、しかし土踏まずがタイトに絞り上げられているため、まるで足に吸い付くような履き心地が体感できます。また、デザインは1960年代のハンティングシューズからインスパイアされたもので、トウまで伸びた大ぶりのモカにトリプルステッチを施し、外鳩目にやや太めの平紐を通すなどし、独特のモダンクラシック顔を表現。しかも、そこに実用的なビブラムソールを組み合わせることで、さらにその雰囲気を強調してもいます。
このように製法、木型、デザインのいずれにも独自のこだわりを見せる“ネオ・アメリカン”なこのUチップは、昨今流行のビジカジスタイルに相応しいお洒落な1足。しかもハンドソーンウェルテッドでアンダー4万円なのですから、これはもう、デビュー間もないブランドながら大人気というのも納得なのです。

PEGMAN(ペグマン)

アイテム:Uチップダービーシューズ
商品番号:61053
木型番号:L101
製法:ジェニュインハンドソーンウェルテッド(オールアラウンドアウトステッチ)
アッパー:仏アノネイ社製カーフ
ライナー:レザー
ソール:ビブラム社製ラグソール
カラー:ブラック、タン(写真)、ダークブラウン
製造国:中国
価格:39,900円

お問い合わせ:
ラコタ TEL.03-3545-3322
http://www.lakota.co.jp

 

 

文:山田 純貴 写真:猪又 直之