CLOSE UP SHOES

ペグマン

「あっ、これは必ず売れますよ」。「売れそうですね」。今年8月のある日、この靴を初めて目の前にした私たちスタッフはそんな言葉を交わしていました。この秋冬人気のブーツだからというだけではなく、ミリタリー調のラギッドな佇まい、ほどよくボリューム感のあるラウンドトウ、ダブルソールのクレープソール……と“イマの気分”が満載。「ハイシャインレザー」と称されたアッパーのガラス加工レザーは人気素材のコードバン風ですし、デザインもアメリカの某高級靴ブランドの定番ブーツに通じるものが……。それでいて価格は3万円ちょっとというのですから、これはもう“大受け”して当然です。エージェントのジー・エム・ティー社に確認したところ、実際、売れ行き絶好調なのだそうです。
ジャラン スリウァヤは当欄でも過去に(2010年9月3日アップデイト)紹介しましたが、そのときのクォーターブローグオックスのように、どちらかというとドレスシューズのブランドとのイメージがあります。ですから、このミリタリーブーツを見ると少々意外に思うのですが、実は、製造元のフォルトゥナシューズ社は1919年の創業時は外国人向けにミリタリーシューズを生産するファクトリーでしたから、本品はそうした同社の伝統に立脚したルーツ的製品であるとの見方も可能です。

さて、ジャラン スリウァヤはハンドウェルテッド・グッドイヤー(九分仕立てのこと。底付け工程のうち、すくい縫いは手縫いで、出し縫いは機械で行う製法)という、グッドイヤー以上に手間を要する製法を駆使し、ヨーロッパの一流ファクトリーに引けをとらない品質を堅持しながら、人件費の安さなどを利用したお値打ちな靴で知られます。本品についても、そうした特徴に変わりはありません。ハンドウェルテッド・グッドイヤー製法には、はじめから反(かえ)りがよく、履き込んでもグッドイヤーほど中底が沈まないためにジャスト寸が選べるなどの利点がありますが、本品は肉厚クレープソールのクッション性と相まって、まさにストレスのない履き心地が体感できます。また「ハイシャインレザー」は一般的なガラス加工レザーのようなチープ感はなく、色艶に透明感と深みがあって大変魅力的ですし、そこに施されたモカのすくい縫いは、なんと手縫い。このディテールがまた、本品をいっそうラグジュアリーな印象に見せています。
卓越した製靴技術やこだわりの素材使いの賜物で、このブーツ、ゆうに10万円クラスに見えます。私たちスタッフが思わず「売れる」と確信してしまったのも故なきことではなかったというわけです。これをお読みの皆さんも、ぜひ一度、ショップで手に取って、その出来栄えを確かめてください。

JALAN SRIWIJAYA(ジャラン スリウァヤ)

アイテム:Uチップレースアップブーツ
モデル番号:98365
木型番号:1663
製法:ハンドソーンウェルテッド(九分仕立て。オールアラウンドアウトステッチ)
アッパー:HIGH SHINE LEATHER(ハイシャインレザー。インドネシア製)
ライナー:フルレザーライニング
ソール:ダブルクレープソール
カラー:ブラック、バーガンディ(写真)の2色展開
製造国:インドネシア
価格:31,500円

お問い合わせ:
ジー・エム・ティー
TEL.03-5453-0033
http://www.gmt-tokyo.com
http://www.burnish354.com

 

 

文:山田 純貴 写真:猪又 直之