機能性と堅牢性で世界を魅了し続ける フレンチシューズの象徴的存在
パラブーツの歴史は1927年、フランス・ヴォアロン地方の靴職人レミー・リシャールポンヴェール氏が滞在先のアメリカで入手した1足のラバーで覆われたブーツとともに帰国したときに始まりました。同氏はその靴をヒントに、ブラジルのパラ(PARA)港から直輸入されていた天然ラテックスを底材に使用した靴を着想。そして自ら立ち上げたブランドに、その輸出港の名からとった「PARABOOT(パラブーツ)」というブランド名を付したのです。そして、そのパラゴムを原料に独自のゴム合成法を開発し、特許を取得。こうして自社でラバーソールを製造する、世界で唯一のシューズメーカーが誕生しました。 堅牢で摩耗に強く、コンフォタブルな履き心地をもたらすオリジナルのラバーソールを備えたパラブーツの靴は、まず、一般労働者や消防士、郵便配達人、軍人らの間で支持され、ワークシューズとして世に受け入れられていきました。また、北極探検家ポール・エミール・ヴィクトール氏ら冒険家たちが愛用したことで、アウトドアシューズとしての地位も獲得。ことにオールウェザーで履くことができるノルヴェイジャン・ウェルト製法はパラブーツが得意とする製法となり、ラバーソールと並び、このブランドを象徴する技術となりました。 さて、ここで代表作のUチップ「CHAMBBORD(シャンボード)」をみてみましょう。アッパーには十分にオイルアップされたカーフを採用していますが、丈夫で、雨に強いこの革は、実は「シャンボード」のために開発された素材なのです。いっぽう、ソールにはもちろん、オリジナルの「PARA-TEX」ラバーソールを使用。この底材は内容物のコルクとアウトソールとのわずかな隙間がハニカム構造になっており、そこに空気を溜め込むことで優れた衝撃吸収効果をもたらすのです。 そして製法は前述のノルヴェイジャン・ウェルトです。元来は登山靴用に開発されたとされる、この製法は約150もの工程を要し、グッドイヤー・ウェルト製法以上に靴を堅牢に仕上げることができます。しかも「シャンボード」の場合、ウェルトがL字形に当てられ、そこに2重のステッチを施すという、いわゆるストームウェルトになっているため、アッパーとソールの境界部分から雨などが浸入しにくい構造なのです。 つまり「シャンボード」はオールウェザー仕様の傑作コンフォートシューズというわけ。おまけにコーディネートの汎用性が驚くほど広く、ビジネスにもカジュアルにも合い、また、パンツの裾幅や丈も選ばず、ほとんどのスタイルに違和感なくマッチします。これほどさまざまなスタイルに合う靴は、他にそうそうはありません。このように「シャンボード」はパラブーツの伝統的な個性のほとんどを兼ね備えた、魅力ある名靴といえるでしょう。
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白壁が印象的な、イゾーにあるパラブーツのメインファクトリー。オリジナルの底材は、ここで生産されているのです。
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Uチップシの傑作「シャンボード」。ロングノーズを見慣れた目には無骨なプロポーションにも思えますが、実は細身のパンツにも太めのカーゴにもよく合う抜群の高汎用性が自慢なのです。価格は5万8,800円。
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天然ラテックスソールの可能性を信じ、それを靴の底材に採用した創業者のレミー・リシャールポンヴェール氏。 |
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| ところで同ブランドは現在、フランスのイゾーとヒューレにファクトリーを所有し、この2つの工場で約70名がラバーソールやノルヴェイジャン製法の靴、あるいはグッドイヤー製法の靴を生産しています。加えて2005年春夏から、仏デュプイのボックスカーフなどを使用した「ドレスライン」をスタート。また、コーズ・ブラク製法のデッキシューズやドライビングシューズ、ヴァルカナイズ製法によるサンダルやスリッポンなども生産。レディスも積極的に展開しています。そして、これらすべてのカテゴリーを合わせると、1年間に製作される靴はなんと35万足にも及ぶのです。質においても、量においても、まさにパラブーツはフレンチシューズを象徴するブランドといって過言ではありません。
Text:Junki Yamada
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