師匠のフィロソフィを受け継いだ
愚直にして真っ当なスーツ

ペコラ銀座には特にハウススタイルと呼べるようなものはない。ただひたすら、着手のことを考え、最上の着心地を目指す。
「マリオは効率化という時代の趨勢を一切無視して、100年前から変わらないモノづくりを続けています。彼のスーツを見ていると、裏地をこうして、芯をこうつくって…という理由が一つひとつ明快になるのです。といっても決して保守的ではありません。テープひとつとっても良いものがあれば積極的に採り入れようとします。工房を大きくしないのは、すべてを自分で把握しないと気が済まないからです。目が肥えた今見ても、彼のスーツは群を抜いて美しいと思う」
芯材からステッチ糸、ボタンにいたるまで本国ペコラと同じものを仕入れているのは、そんなマリオの目利きに全幅の信頼を置いているからだ。 「マリオの顧客は9割がロイヤルファミリーを始めとした貴族です。彼らに視覚に訴える記号的ディテールはいりません。確立した個性がある方々なので、下手な脚色は邪魔になるだけです。愚直につくり上げたスーツこそお客さまの品を引き立て、そしてつくり手の感性がにじみ出るのです」
ペコラ銀座には30代を中心とした、モードではなく、本当に良いものを求めてやってくる顧客が多いという。佐藤さんが師匠のフィロソフィを十二分に吸収している何よりの証拠だろう。それは単なる職人ではなく、芸術家の素養を兼ね備えた、アルティジャーノであることを意味する。
「僕らしいスーツ、ということは考えません。マリオから学んだコトを忘れることなくつくり続ければ、いつの間にかウチらしくなっているのではないでしょうか。当たり前ですが、モノづくりにはこれで完成、ということはないですから」

オーダーの流れ

採寸

体型を測る一番重要な工程。ペコラ銀座では主流のバストを中心に測る胸寸式の採寸法ではなく、首、肩を中心にしたショートメジャー式で採寸する。この方法は胸寸式に比べ細かな数値をとることができるが、熟練を要するため現在では少数派である。

生地選び

バンチからも選べるが特にお薦めの生地を約500種用意。肩からかけて見れば仕立てた時の雰囲気がよく分かる。
→1週間〜10日

仮縫い

採寸だけでは分からない体型との違いを確認しバランスを見る。仮縫いの段階は中縫いに比べ、まだ平面的。
→3週間

中縫い

フィニッシュの前に細かな確認をする。仮縫いは大まかな確認で中縫いは細部の調整のため。
→3週間

完成

試着して確認し完成。

オリジナル オーダースーツ〈フルハンドメイドライン〉

PECORA GINZA(ペコラ ギンザ)

採寸、生地選び、仮縫い、中縫いを経て完成するフルハンドメイドライン。マリオ・ペコラの技術、思想が遺憾なく反映されたプレステージラインです。

■価格:
シングルスーツ 280,000円〜、中心価格 360,000円
ジャケット 中心価格 240,000円
パンツ 中心価格 85,000円
シングルコート カシミア100%チェスター 450,000円〜

■納期: 約2ヶ月

オリジナル オーダースーツ〈セカンドライン〉

PRIMA PROVA(プリマプローヴァ)

縫製を効率化することで値ごろな価格設定を実現したセカンドライン。といっても型紙作成→仮縫いの行程は経ており、そのスタンスはビスポークと呼んでいい。

■価格:
シングルスーツ 180,000円〜、中心価格 210,000円
ジャケット 中心価格 170,000円
パンツ 中心価格 55,000円
シングルコート カシミア100%チェスター 350,000円〜

■納期: 約1.5ヶ月

Text:Kei Takegawa Photo:Hidetoshi Hara