生活様式美 - 第4回 香十

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日常使いの香りから雅な香道の世界へ・・・。

香の文化は平安時代にまで遡ることができ、源氏物語のなかでも見ることができます。室町時代になると香道も茶道や華道のように芸道の形となり、日本の伝統芸道のひとつとして現代へと継承されてきました。
さて、今回ご紹介する「香十」は1575年に創業した老舗。香十初代は源氏の名将 安田義定十二代の子孫と言われる、又右衛門源光弘と伝えられています。この初代は京の御所御用を務め、香を扱う御道具師として「香十」と名乗ります。三代目は太閤秀吉に、四代目は徳川家康に仕え、以後代々、「香十」が襲名されてきました。
第十七代までは京都に、現在では銀座界隈に3店舗構えています。なかでも銀座ガス灯通り店は、賑やかな銀座の大通りから1本入った路地裏にある落ち着いたお店で、三畳ほどの小さな店内には香ものが整然と並んでいます。香道に親しんでいる方も来店されますが、もっと気楽に香りを楽しんでいるお客さんも多いです。香(商品)の種類は焼香、塗香(ずこう)、薫衣香(くのえこう)、匂い袋、文香、名私香(めいしこう)、室内香・香袋、お香・お線香などがあり、遠方でなかなか来店できない人にはオンラインショップで購入できます。さすがにお香の種類は多く、香十ならではの調香によって生まれた香りや、白檀、薔薇、百合、菫なども。形も棒状や円錐型だけでなく渦巻型があったり、香りだけでなく色や形も楽しめます。日常ぜひ使ってみたいのが枕の下に入れて使う枕香。好きな香りに包まれたら安眠できそう。あと、名刺入れに忍ばせておくなど、使い道が豊富な名私香もおすすめ。また、オードトワレやオーデコロンも求めやすい価格なので試しに買ってみるのもいいですね。
本格的に香道を習ってみたい方は、銀座4丁目にある香間「香十庵」で教室が開催されています。初めてでちょっと心配という方は体験香会もあるので安心です。銀座ガス灯通り店は目に見えない香の奥深い世界を体験できる、まさに入り口のような存在。ふらっと立ち寄りたくなる素敵なお店です。

銀座香十
銀座ガス灯通り店

〒107-0062
東京都中央区銀座3-5-8
日本香堂ビル1階
TEL/FAX:03-3567-2105
http://www.koju.co.jp

小さな店内には所狭しと香の品々が並べられている。香りをきものに移す「薫衣香」や平安朝の薫物を受け継ぐ日本伝統のお香 「練香」など奥ゆかしい香りの文化を伝えてきた香十家伝の調合の逸品が揃う。現代のライフスタイルにあわせた使い方などをお店の人に聞いてみるのもいい。

文:倉野 路凡 写真:猪又 直之