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暮らしのお店探訪- 第11回 キャレモジ

墨が描く心の余白

2002年、南青山にオープンしたキャレモジは、骨董通り一つ目の角を右に折れ、その路地を少し入った左手のビルの3階にあります。エレベーターの扉が開くと、そこは明るくモダンで静謐な空間の広がるギャラリー。その整然とした壁や棚といったスペースには、これまでの書道という概念を綺麗に覆し、ごく自然にインテリアに溶け込んだ書の数々が自由に舞い、訪れる者を和ませてくれます。それらは主張しすぎず、在る場所、見る者と心地良く調和し、何処か優しさや温かみ、また清々しさや潔さの感じられるような表情を持つ、まさに飾りたくなる「書」たち。キャレモジとはフランス語のCarre(心地の良い中庭)と、日本語のMOJI(文字)を組み合わせた造語。「文字のある心地良い空間」を見事に体現したそのギャラリーには、所属する12名の優れた一流書家が感性豊かに創作したオリジナルの一点ものが常時2000点揃えられています。

海外生活が長く、書家でもあるオーナーの植野文隆氏が、外国の友人に「日本はなぜ輸入文化ばかりで、どうして日本固有の伝統的なものを飾って楽しむことをしないのか?」と聞かれ、客人を招きいれる際、今の住空間に合う日本発のインテリアアートが無いことに気づいたことから、キャレモジの創設に至ったといいます。確かに私たちの生活が欧米化するにつれ、日本の伝統文化である書道も、日常空間でほとんど目にすることがなくなっていました。そんな現代空間にフィットする新しいコンセプトのインテリアアートの提案、飾る書として生まれたのがキャレモジ。昨今の内外におけるジャパンブームから再び書の存在も脚光を浴び、より前衛的、パフォーマンス的、商業的なものも増え、デザイナーやクリエイターから一般の方まで、いわゆる専門ではない手の参入も目立ちますが、キャレモジはその流れに先駆けるもので、むしろ一線を画し、書道を極めた選ばれし書家のみが、その類い稀なデザイン性と感性をもって昇華させ創り上げた作品で、それら動きの頂点にあると言えます。だからこそ、墨が描き出す線の深み・極まりといった「視覚」と選ばれた文字の本来の「意味」という両面から、見る者の感性に寄り添い、心地良い刺激を与えてくれるのでしょう。どうぞ、あなたの心の琴線に触れる一作を、あなたの空間へも、お持ち帰りになってはいかがですか?

キャレモジ
〒107-0062
東京都港区南青山5-11-24 3F
TEL.03-5766-7120 FAX.03-5766-7128
営業時間:11:30〜19:00
店休日:日曜日
http://www.carremoji.jp

文:冨田 いずみ 写真:猪又 直之 2011.07.08 UPDATE

 

キャレモジの作品には「漢字&かな」、「英語」、「モジフィック」、「グラフィック」、「墨絵」と5つの種類があります。

最近では、文字をグラフィック化する「モジフィック」も人気。展示作品価格に25%プラスするだけで、好みの文字を好きな書家、作風、額装までオーダーすることも可能です。退職祝い、出産祝いなど、特別な文字、言葉をデザインして贈り物にする方も多いそうです。


キャレモジではスクールを開講しています。書道教室のような先生の手本はなく、それぞれの方の書の実力と感性を磨き、インテリアに飾りたくなる書を作り上げる書道スクール。見る人の心の余白を膨らませ「墨の風景」を描くような、キャレモジならではのスクールです。完成した作品は、オリジナルの額装を施してお持ち帰りいただきます。