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暮らしのお店探訪- 第16回 東青山

東青山

古き良き日本の道具を確かな職人技術で現在に蘇らせる「東屋(あづまや)」の直営店 として2006年にオープンし、6回目のお正月を迎えた「東青山」には、新しい朝日を受けて、キチンと作られた日用品が今日も清々しく並んでいる。この印判染付けされた豆皿のように、江戸時代などからその製法は大きく変わらず、手作りされているものが多い。だから、それらの表情は新しくもありつつ、何処か懐かしさを覚える。

猿山修、立花文穂、くげなつみ、上泉秀人、岡田直人、濱中史朗など、多くのデザイナーや作家の優れたアイデアが、自身のまた職人らの手によって丁寧に形作られ、生活に寄り添いながらも存在感のある面持ちで訪れる人を出迎えてくれる。量産品にはない物の個性というような味わいにあふれていて、眺めたり触れてみると、自然と微笑ましくなって来る。また、使い手が使うことで、よりその手に馴染んで来るものばかり。一緒に日々暮らし愛着をもって育てていく道具というわけだ。陶磁も木も銅も錫もいい色を帯びて来る。いいものは末永く使って欲しいから、店のものでなくとも修理を請け負うという。

床や壁や天井はあえて素材を剥き出しにしたような荒木信雄によるインテリアデザインに、物を引き立てる無駄なく簡素な棚、調度が並ぶ。聞けばそれらは指物師によって作られたものという、ん〜、よ〜く見ると、見れば見るほど凄い。

急須といえば常滑、朱泥の焼き締めが一般的だが、こちらにあるのは烏泥という墨色をしていて、湯切れのよい口や蓋スリという手法でピタッと仕上げられた広めの開口部からは全くお茶が垂れたりこぼれたりしない。茶漉部分まで目が細かくスッキリ平らなので目詰まりせず、洗いやすく、茶葉の広がりも妨げない。しかも、持ち手で倒立できるほどバランスよく作られていて、つまり、使いやすい。猿山修監修による職人技の活かされた、この丸急須には、なんと左利き用も用意されている。

さり気なく人の傍に佇む「東青山」には、暮らしの知恵が詰まっている。そして、何かきりっとさせられるような、そんな思いがした。寒い季節にもマフラーをきゅっと巻いて立ち寄りたい。
    
※メインの写真:江戸時代に流行した小紋柄。縁起文様として大切にされてきた日本の古紋を呉須を用い、印判手により表現された豆皿(磁器)。扇:竹縞、たんぽぽ:障子、ひょうたん:松皮、梅:麻葉、木瓜(もっこう):菱菊、ひまわり:菊花がある。
擦れや撚れなど、個体差があるのも一つ一つ手仕事で作るからこその味わい。

東青山
〒107-0062 東京都港区青山6-1-6パレス青山1階
TEL:03-3400-5525
E-mail:welcome@higashiaoyama.jp
営業時間:12:00〜19:00
定休日:火曜日
http://www.higashiaoyama.jp/

文:冨田 いずみ 写真:猪又 直之 2012.01.08 UPDATE

 

立花文穂の活版印刷されたタイポグラフィーが踊る看板

本当に「烏」の色をした急須たち

同じ形で素材違いの表情が面白い

あるべき位置にあるべき姿で並ぶ物たち

窓の広いギャラリーのような外観