Back Number

第9回 パティシエ・シマ

甘く深いフランス伝統菓子の世界

東京のまさに中心でありながら、落ち着いた趣きがあり、行き交う通りには品の良さが漂う麹町。ここは、伝統的な洋菓子の名だたる店が数多く点在する町でもあります。中でもすぐに目にとまる赤いひさしの奥、ガラス越しに綺麗に並んだ甘い宝石さながらのフランス菓子たちに誘われ、ご近所のお菓子好きはもちろん、はるばる遠くから訪れるお客様が後を絶たないという1998年オープンした名店「パティシエ・シマ」。常に40種以上の生菓子と、30種以上の焼菓子が所狭しと並ぶ姿は圧巻。ひとつ挟んでお隣には2004年にオープンしたチョコレートショップと10席のサロン・ド・テを併設した「ラトリエ・ド・シマ」が並んでいます。こちらは煉瓦に包まれたシックな佇まい、扉を開けると幸せなチョコレートの香りが迎えてくれます。

今では馴染み深い、クレームアンジュ、クレームブリュレ、石畳(生チョコ)などもここから世に送り出されました。昔はパリの一流レストランのコースをオーダーした人しか食べられなかったようなこれら伝統的なフランス菓子を多くの人が喜んで食べられるようにと日本の人々や風土に合う美味しさに創り上げて紹介したのが、日本の洋菓子界において40年のキャリアを持つ草分け的存在の島田進オーナーシェフ。当時、日本でフランス菓子を作るにも材料を手に入れることすら難しかった時代。本物の味を日本で表現するために、菓子材料の輸入にも力を注いだとのこと。お菓子を通じてフランスの豊かな食材・食文化を日本中の人に届けたいというシェフの熱い思いと日々の活動は高く評価され、2005年にはフランス政府より農事功労章シュバリエを受勲されています。

「“いま”を切り取るようなお菓子だけでなく、古い伝統とその背後に広がる豊かな物語にふれることで、フランス菓子の本当の魅力を楽しむことが出来る。」と語るシェフ。例えば、迎える新年をみんなで祝う伝統菓子で飾り模様が綺麗なパイ、ガレット・デ・ロワは、日本では「フェーブ」と呼ばれる陶製の小さな置物を別添えにして、代わりにアーモンドを入れます。一方本国フランスでは「フェーブ」を生地の中に忍ばせて焼き上げ、それを見事引き当てた人は「王様」として過ごす幸運を得られるという占い遊びが今でも楽しまれています。フランス菓子にはそれぞれ、より美味しく彩ってくれるストーリーやエピソードがたくさんあるので、そのまつわるいわれを語り合いながらホールケーキなどもみんなで切り分けて食べる楽しみをもっと感じて欲しいと願うシェフ。 特別な記念日だけでなく、週末などにも友人や仲間と集ってお茶請けやデザートにアントルメやスペシャリテを気軽に分かち合い、大いにその甘く深いお菓子語りからフランス談義にまで時を過ごしてはいかがでしょう。

パティシエ・シマ
〒102-0083 東京都千代田区麹町3-12-4 麹町KYビル1F
TEL&FAX 03―3239−1031

ラトリエ・ド・シマ
〒102-0083 東京都千代田区麹町3-12-3 トウガビル1F
TEL&FAX 03―3239−1530

営業時間 10:00〜19:00(月〜金)、10:00〜17:00(土)
店休日 日曜・祝日
http://www.patissiershima.co.jp/

写真:猪又 直之 2011.02.23 UPDATE

 

パティシエ・シマ/プティガトー、店内の様子

ラトリエ・ド・シマ/ショップ外観、石畳(生チョコ)、フェーブのディスプレイ